「秀麗富嶽十二景」四番山頂、滝と沢音に押されて最長のコースタイムも快適な滝子山
秀麗富嶽十二景四番山頂は二番山頂、三番山頂同様に2座名を連ねています。二番、三番山頂がともに南北に峰をつなげているのに対して四番山頂群は東西に並んでいます。山頂からの秀麗富士も見え方が違います。滝子山は沢音に包まれながらのロングトレイル。笹子雁ヶ腹摺山は歴史を忍ばせる峠越えが特徴とキャラも大きく違います。 【写真】道証地蔵登山口から滝子山山頂を目指すスミ沢ルートを見る(全11枚)
長い長い登りのスミ沢ルート、山頂は360度パノラマ
秀麗富嶽十二景の山々はもちろん、首都圏から山梨・長野の名峰に挑むに当たって利用することの多いJR中央本線や、国道20号線からもその堂々たる姿を見かけることが多いと思います。四番山頂の滝子山、標高1610mです。 その山頂は360度の大パノラマ。秀麗富士山は南側正面に立ち、本社ケ丸と清八山、鶴ケ鳥屋山を前衛にかしずかせ、東側に杓子山と高指山を従えた画角は王者の行進を見るようです。逆の山頂北側には大菩薩嶺から小金沢山、黒岳の小金沢連嶺の主要キャストと雁ヶ腹摺山~姥子山を視界に捉えることができます。それまでの長い登りを忘れさせてくれる壮大な景観は、滝子山ならではの魅力だと思います。
その名にふさわしい滝のせせらぎが背中を押す
滝子山へのアプローチはJR中央本線・笹子駅から国道20号を大月方面に歩き、吉久保バス停から麓の桜森林公園を抜けて林道を伝い、道証地蔵登山口から山頂を目指すスミ沢ルートが軸となります。最近ではその途次にある寂ショウ尾根(または南陵尾根)を利用する登山者が増えているようですが、大月市パンフレットでは危険と判断し推奨していません。ここではスミ沢ルートから初狩駅に下る檜平ルート使う時計回りの周回コースの山行です。 道証地蔵からは沢を伝い橋を渡って右、左と沢をまたいで深奥部に進みます。沢は小さな滝を段に構え、山名にふさわしい心地よい滝音を響かせてくれます。標高が上がるにつれ、差し込む陽射しに川床が透けて見える美しい流れを堪能できます。滝子山が多くのハイカーを引きつける理由ではないでしょうか。山行時間と距離の長いスミ沢ルートですが、秀麗富嶽十二景の中では唯一と言える滝の涼感は魅力です。 標高1000mを超えると、滝子山はシビアな面を披露し始めます。初心者やキャリアの浅い登山者には迂回ルートが用意されていますが、この迂回ルートもなかなかに急登で手強い一面を見せます。その先に広がる防火帯は両側が大きく開けた快適なトレイルです。山頂手前の鎮西ケ池の祠を過ぎれば山頂まであと一息です。山頂で秀麗富士山を堪能し、しっかり休憩をとって下山です。 下りで利用の檜平ルートも急登が続きます。下り始めて程なく檜平と呼ばれる広場に降り立ちます。ここからの富士山の眺望も見逃せません。快晴の日の山行は、一度足を止めてみてもいいかもしれません。そして再びの急登の下山。足もとに細心の注意を払って初狩駅へ。秀麗富嶽十二景の中でも手応えのある山行は平均で約7時間を超えるコースタイムですが、満足感の高さも魅力だと思います。
ソトラバ編集部