『ソウ X』殺人鬼の深淵をのぞく人間ドラマに目を背けるな! ケヴィン・グルタート監督インタビュー
2004年、猟奇殺人鬼・ジグソウが仕掛ける生死を賭けた戦慄のゲーム、そして予想のつかないストーリー展開で世界を魅了した『ソウ』。 逃げ場のない状況下における人間の極限状態を思わず目を背けたくなるゴア表現を交え、スリリングに描いた『ソウ』は、ソリッド・シチュエーション・スリラーの最高峰と称賛され、瞬く間に誰もが知る人気シリーズとなった。そんな『ソウ』シリーズの最新作『ソウX』が10月18日に公開された。 本作でメガホンを取ったケヴィン・グルタート監督のコメントを交え、これまでの『ソウ』とは違う最新作の魅力に迫りたい。
play the game‥‥誰も観たことがなかったゲームの続き
ケヴィン・グルタート監督は、『ソウ』シリーズの第1作から第5作まで編集者として関わり、第6作と第7作、そして今作で再び監督を務めた。 「確かに自分のキャリアの中でも大きな位置を占めている作品で、『ソウ』が代表作であることを自負しているよ。シリーズのチームには本当に感謝しています」 こう語るグルタート監督は本作をどう描いたのか。 本作で描かれるのは『ソウ』と『ソウ2』の間にあった出来事。そう、これは『ソウ3』で死を遂げた天才殺人鬼ジグソウこと、ジョン・クレイマーがまだ生きていたころの物語だ。 「本作では第1作目と第2作目の間を舞台にすることで、人間としてのジョンの人生をエモーショナルに深掘りしていったんだ」 ジョン死後、彼の意志を継ぐものがゲームを続けシリーズが紡がれてきた。しかしながらその後のシリーズにもジョンは回想でたびたび登場した。『ソウ』という映画シリーズを成立させるためには、やはりジョン・クレイマーは欠かせない存在なのだ。 ジョン・クレイマーは末期ガン患者だ。麻薬中毒者に妊娠中の妻が暴行されお腹の子は流産。そして自分のように、生きたいにも関わらず余命いくばくもない者がいる一方、自らの命を粗末にしたり、他人の命を蔑ろにしたりする者たちに対して、生きる意味を見出させるために、ジョンは命をかけたゲームを課す。こうして始まった命の尊さを文字どおり自らの肉体に刻み込む戦慄のゲームが『ソウ』である。 本作『ソウX』は、この直後に巻き起こるジョン・クレイマーの知られざるゲームだ。 末期がんで余命わずかと宣告されたジョン・クレイマーは、藁にもすがる思いで、危険な実験医療処置を受けるためメキシコに向かう。しかし、この手術は弱い立場の人々から金をだまし取る詐欺であることが判明する。ジョンは復讐のため、自分をだました詐欺師たちに死のゲームを仕掛けていく。 『ソウ2』でジョンは肉体的に弱った状態でゲームを仕掛けていたが、そこに至る壮絶な物語が明かされる。ここを描くことでシリーズの謎が解かれていくので、シリーズファンは見逃せない内容となっている。