決勝ゴールを決めた厚木西MF石井凰介

　第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選の1次予選3回戦1日目が県内の各会場で7月14日に開催され、厚木西が立花学園を相手に2-1で勝利を収めブロック決勝進出を決めた。 【フォトギャラリー】 1次予選3回戦試合風景 　前半23分、MF7野口友翔が見事なFKでゴールネットを揺らし、1点をリードして迎えた厚木西のハーフタイム。近藤和浩監督から温和な表情と物腰からはちょっと違う雰囲気の言葉が発せられた。 「受けに絶対に入るな。後半を死に物狂いで戦ってこい」 　しかし、対戦相手の立花学園も「ハーフタイムの後半の立ち上がり、そこをしっかり。まず1点を取ろう」の指示通り、43分に試合を振り出しに戻してくる。それでも48分に「彼がリーダーシップを発揮して日常からやってくれているので、試合を決める点を取ってくれたことは私自身も嬉しいですし、キャプテンが取ってくれたことによってチームも勢いづいて『よし行こう』ってなったので、すごく大きい1点だった」と指揮官も唸らせるMF8石井凰介の勝ち越しゴールでブロック決勝進出を決めた。 　試合後、近藤監督にハーフタイムにかけた言葉の真意を尋ねると、「伝わっていたんじゃないかなと思っています。メンタル的なところがすごく大きいので(笑)。乗る時はすごく勢いもってやってくれる子どもたちなので、そこの部分に火をつけてあげたい思いであのような言葉を伝えました」と答えてくれた。そして実際にその言葉について決勝ゴールの石井に聞いてみると「あれはもう『チーム全体でやるぞ』と一つにまとまりました。自分たちのテーマである『一体感』を確認できました」と強力な後押しになったようだ。 　次のブロック決勝を勝てばその先には2次予選が待っている。 　「昨年も2次予選には進ませていただきましたが、湘南工科さんに負けてしまいました。今年の目標はベスト16と子どもたちは掲げているので、そのためには2次予選は絶対何がなんでもと彼らもモチベーションを高くやっていると思います。本当にちょっとしたところで勝負が決まると思いますので、それをどうやって集中してやらせるか、緊張もだいぶすると思いますので、声がけ含めて準備ができたらなと思っています」 　選手たちのことを常に『子どもたち』と柔らかな表情で呼び、“選手ファースト”でチームを作り上げる近藤監督。次の試合も指揮官の優しさと思いやりが厚木西の『一体感』を包み込んでいくに違いない。 (文・写真＝西山和広)