ミハイル・ゴルバチョフという「聖なる愚か者」|この週末に読みたい海外メディア記事2本|2022.08.27-09.02
The Gorbachev Vacuum【Michael Kimmage/Foreign Affairs/8月31日】
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今週もお疲れ様でした。ソ連の記憶が鮮明な世代の読者にとっては、指導者としてまずイメージが浮かぶのは16年以上も書記長の地位にあったレオニード・ブレジネフではないでしょうか。記憶の中を掘り起こせば、そのイメージはまず四角い。マッチ箱かいな? と思うシルエットの指導者が去り、ぼんやりしているうちに交代した気がする2人の書記長を経て、ミハイル・ゴルバチョフが登場した時にはなんと言ってもその丸さと柔さが新鮮でした。 英首相マーガレット・サッチャーが“話せる男”として西側社会にプロデュースしたゴルバチョフですが、一方で「東欧・中欧という戦略的に重要な地域に対する持続可能なビジョンがなかった」とアメリカ・カトリック大教授のマイケル・キンメイジは指摘します。「聖なる愚か者」は失敗を成功として、そして成功を失敗として経験する。不変と思われた秩序を破り、冷戦の物語を結末へと展開させたゴルバチョフは、まさにトリックスターさながらに正誤を超えて世を去りました。フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事2本、皆様もよろしければご一緒に。Hope you have a great weekend! 旧ソビエト連邦で共産党書記長と大統領を務めた ミハイル・ゴルバチョフ が8月30日、91歳で亡くなった。冷戦を終わらせたとされる旧東側の指導者の追悼記事は欧米のメディアにも溢れており、いま紹介した一文の引用元(「 ゴルバチョフという空白 」)のもそのひとつ。ロシア・欧州問題を専門とするアメリカ・カトリック大教授のマイケル・キンメイジが米「フォーリン・アフェアーズ(FA)」誌サイトに寄せた「ゴルバチョフもの」だ(31日付)。
本文:3,371文字
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フォーサイト編集部