京都のせいで滋賀は不幸なのか? 京都から電車10分で安価な宿、協調し「ついでの観光需要」取り込め
来年の大阪・関西万博や国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会(国スポ・障スポ)開催に向けて、滋賀県の観光関連団体が誘客を議論する会議が27日、草津市内のホテルで開かれた。阪南大の重谷陽一准教授(観光経営学)が「滋賀の観光業にとって京都の存在は幸か不幸か?」をテーマに講演し、「滋賀が京都に勝てる要素は無いのか」「京都を利用できないか」といった観光戦略を参加者も考えた。 【写真】これが滋賀県最強の観光スポット 重谷准教授は始めに観光における京都と滋賀の実力を解説し、「京都は数多くの世界遺産や文化施設を有し、それぞれの観光資源が1時間圏内に集約している」と説明した。一方で滋賀について「琵琶湖を中心とした景勝地や食のコンテンツが主な観光資源で、世界遺産は比叡山延暦寺のみ。地理的に分散しているためレンタカー移動が前提で、中国客などを取り込みづらい」と分析した。 その上で「競合するのではなく京都と協調し、『ついでに』需要を摘み取っていくべき」と提案。京都市中心部の宿泊費が高額な上に満室続きの時期もあることから、電車で約10分移動しただけで県南部に安くて良質な宿があることを強みにすべきとした。またマリンスポーツや茶摘みなど体験型観光の需要を取り込むため、手ぶらですぐに楽しめるように機材を備えるなどして「思いつき需要」に応えるべきとした。 同会議は観光振興に向けて率直に意見交換ができる場をつくろうと、「びわこビジターズビューロー」が主催。県全域の観光団体の代表者ら約50人が参加し、講演後には訪日客の取り込みや、京都をうまく利用した観光戦略について意見交換した。