年俸大幅増の巨人・吉川尚輝が大学時代に語っていた家族孝行の夢「1億円稼ぎたい」
【球界ここだけの話】1万円の仕送りに感謝していた若者は、〝億プレーヤー〟になっても同じ気持ちでいた。巨人・吉川尚輝内野手(29)は9000万円から倍増以上、自己最高となる年俸2億円で契約更改。3年契約も結び、超一流の仲間入りを果たした。 【写真】優勝旅行中の巨人・吉川尚輝。ホットドッグを手にアロハポーズ 大幅アップの使い道は「たくさんお世話になった兄貴2人に何かしてあげたい。家のリフォームとかも。分かんないけど」と笑って明かした。家のリフォームと聞いて思い出すのが、8年前の吉川とのやり取りだ。 中京学院大から巨人のドラフト1位指名を受けた2016年の暮れに、私は岐阜に出向いてインタビューをした。野球の話から脱線すると、吉川は岐阜・羽島市にある実家の話をおかしそうに話してくれた。 「ド田舎です。田んぼの中にポツンと一軒家。近くにある伊吹山から吹く『伊吹おろし』という風がヤバくて、窓とかがガタガタ! って音がして、壊れるんじゃないかって思うときあります(笑)。めちゃ寒いですよ」 周囲に建物がないだけに、山から吹き下ろす風が強く当たるという。記者が「1億円を稼ぐぐらいになって、頑丈ないい家を建ててください」と言うと「そんなことができたらいいですね。1億円、稼ぎたいなぁ」と語っていた。今季はチーム不動の二塁手となり、ベストナイン&ゴールデングラブ賞を初受賞。夢見た1億円を一気に飛び越えた。少年時代から練習相手になってくれた兄2人への恩返しと、実家改築の夢。プロ8年目でも変わらず持ち続けていたようだ。 吉川が在籍した中京学院大は、野球部員がシーズンオフにアルバイトをして遠征費などを稼ぐことも珍しくなかった。吉川も2年時までスーパーの品出しや工事現場で働いた。本気でプロを目指し始めた3年時からは親がサポートしてくれた。アルバイトの経験があるからこそ「親から仕送りをもらうときがあるんですけど、そのときに1万円を稼ぐ大変さを改めて分かった。高校までも旅費とか、年間何百万とかかっていた。感謝しかない。プロは結果を出した分、もらえる。親、兄、親戚、お世話になった方々に恩返ししたい」と実感がこもっていた。吉川を成功に導いたのは家族への感謝。孝行息子のいちずな思いに、こちらも心が温かくなった。(谷川直之)