モダンの高値を更新したジョンロブのイヤーモデル
ベースはビスポークのアーカイブ
サンクレパンは布教のために靴職人として生計を立てたクレパンとクレピニヤン兄弟(双子)が迫害により殉教した10月25日のことをいいます。靴好きにはサンクリスピンのほうが馴染みがあるかも知れないこの聖名祝日を記念し、1996年よりイヤーモデルをリリースしてきたのがジョンロブです。 コレは欲しい! 2024年のジョンロブ イヤーモデル、その全貌を見る!
酒蔵はその技を次代につなぐため、年に一回、持てる力を出し切った酒を醸しますが、イヤーモデルはまさにそのような思いが込められたコレクションです。過去のラインナップをみれば最高峰の技が求められるホールカットやスキンステッチがたびたび登場しています。
ビスポークのアーカイブをベースにしたという今作はホールカットにノルウェイジャンの クロスステッチ(出し縫い)をあしらい、オーバル型のアンスラサイト(色名。石炭の一 種)のシングルバックルで仕上げています。フォアパート(踏みつけ部)はサンクレパン のテーマカラーであるネイビーに染められました。
アッパーはジョンロブを代表するレザー、ミュージアムカーフとオックスフォードカーフ。前者はなるほど美術館に飾られていそうな陰影美と履き卸しから吸い付くようなフィット感を有するレザー、後者はもっともエイジングが楽しめるレザーとして知られます。 ラストは7000。20世紀のマスターピース、8695をベースに2001年に誕生した、いってみればプレタポルテの最高到達点です。
ソールはプレステージラインのために完成させたその名もプレステージソール。ヴェヴェルドウェスト、半カラス仕上げ、そして3センチという高めのヒール寸(クラシックラインは2.5センチ)をその特徴とします。
しかし なんといっても見逃せないのは熟練の職人仕事を駆使しつつ、ただの技の詰め合わせではなく、その技の一つひとつが有機的に結びつき、モダンの高値を更新しているところ。ヴァンプの切り替えに入れたクロスステッチとバックルで構成されるアッパーデザイ ンはモンクストラップのイメージを一新しています。