メイウェザー、パッキャオは名勝負だったのか?
元WBA世界Sフライ級王者、飯田覚士氏の採点も「117-111」でメイウェザーだった。 「メイウェザーの技術の高さが伝わる緊張感のあるいい試合だったと思いますが、できるならば、パッキャオがライト級時代にこの試合を見たかったというのが正直な感想です。メイウェザーは、距離、そしてポイントを取る用のパンチで勝ちましたね。ほんの数センチ踏み込まず、体重も乗せず、打った後にすぐにディフェンスに入ることを重視したパンチです。当てられたがダメージのまったくなかったパッキャオにすれば、『私が勝った』と発言するのも理解できますが、パッキャオのパンチは、見切られ当たっていませんから、ジャッジは軽くても当たったメイウェザーの左ジャブと右のカウンターをとりますよね。 もっとメイウェザーはアッパーを使うかなと見ていましたが、2発ほどしかなく、それほど距離を保つことに気を使ったということでしょう。1回にメイウェザーは、前に出て右を使いました。これが結果的に餌となって、パッキャオが中に入ることを躊躇させました。プレシャーをかけながらコーナーに何度か追い詰めましたが、本来なら一度、ステップバックで下がって、もう一度、つめるという2段攻撃、3段攻撃するのが持ち味なのですが、それがなく単純な攻撃に終始しました。左ジャブと餌をまかれた右が気になり最初の壁をやぶることだけに神経を使った結果なんでしょうね。パッキャオは、もっと右のリードをつかって、相手のポジショニングを左へずらしながら左を当てていくべきでしたが、そのパンチもありませんでした」 試合後、メイウェザーは、9月の試合を最後に引退することを明言した。放映権を持つショータイムとの6試合契約がもう1試合残っているためだが、腐るほどのマネーを手にして「世紀の一戦」であるパッキャオ戦を勝利で終えたメイウェザーには、これ以上戦う理由が残っていない。ただ、「勝ったと思った」というパッキャオは、再戦を切望するだろう。そのためには、再起戦で元WBA、IBF世界Sライト級王者のアミール・カーン(英国)らとのビッグファイトを乗り越えることが条件となる。 あと1試合で引退を決意した38歳のメイウェザーが、自らにメリットのない再戦を受けるかどうかは、微妙なのだが、村田諒太の「再戦はもう見たくないですよ。この試合でパッキャオのタイミングやスピードなどをすべて把握したメイウェザーは、次やれば、もっと簡単にパッキャオをリードしていくに決まっていますから」というような意見もある。 年齢を重ね、ますまずディフェンス型へファイトスタイルが移行していたメイウェザーだから、こういう試合展開になることは十分に予想されたが、どこか虚しさの残る、大きなお祭りだった。