メイウェザー、パッキャオは名勝負だったのか?
パッキャオの連打と手数か、それともメイウェザーが巧みなディフェンスの合間に“当てた”左ジャブと右のカウンターのポイントを取るのか。採点の分かれ目は、そこだったが、ジャッジはパッキャオの「当たらなかった連打」よりも、メイウェザーの「当たった軽打」を支持した。採点には、必ず各ラウンドに優越をつける10ポイントマストシステムが導入されているため、拮抗した試合では、意外なポイント差がついてしまうことも珍しくないが、両者のファイトマネーが、300億円を超える空前絶後のビッグファイトとなった試合は、終わってみれば、名勝負と呼ぶには、程遠い“凡戦”に終わった。 ロンドン五輪金メダリストで現在、WBC世界ミドル級7位の村田諒太(帝拳)の採点は「115-113」もしくは「116-114」でメイウェザーだった。 「勝者なきリングだったのではないでしょうか。試合後の大ブーイング、それが、この試合の評価でしょう。この試合を何度も見返したいと思いますか。名勝負とは、そういう試合ですよ。10ポイントマストのルールだと、こういうことが起きます。メイウェザーは、卓越したディフェンス技術と、左ジャブ一本で勝ったようなもの。名勝負を実現するためには、こういうルールの見直しも必要でしょう。プロや玄人が見れば高い技術力を評価しますが一般のファンの方に伝わるものがなければ名勝負とは言えないでしょう。 ただメイウェザーは驚くほど速かった。試合に緊張感もありました。しかも12回を通じてスピードもスタミナも落ちなかった。練習量でしょう。あれだけ速く動かれるとパッキャオもつかまえることができません。またジャブとカウンターが邪魔になって打ち続けることができなかった。フェイントを使うなど詰めた先に工夫も必要でした。7回以降、スタミナ面でも落ちましたね。パッキャオは『パワーは感じなかった』と言いましたが、それなら『もっといけよ!』ということですよね(笑)。体格差もあったと思います。前日に粟生さんが、体重オーバーで失格の王者に敗れましたが、階級が違うのでは?と思うほどの体格差でした。そういう部分も含めて、何か防止するルールが必要じゃないですか?」