最もリスクの高いジャンク債敬遠、デフォルト率上昇のリスク踏まえ
(ブルームバーグ): デフォルト(債務不履行)の流れが加速する兆候を背景に、格付けが投機的水準の中でも最もリスクの高い社債が投資家にとってますます危険なものになりつつある。
英水道会社テムズ・ウォーターの持ち株会社は先週、社債4億ポンド(770億円)の利払い期限に支払いができなかった。先月には、アルティス・フランスの経営陣が債務削減に向けた「割引取引」への参加が必要だと投資家に告げた後、同社の社債価格が大きく下げた。
アルティス・フランス、投機的格付けさらに下げ-CLO危険ゾーンに
より幅広い債券のスプレッドは指標まで縮小しているが、投資家は最もリスクの高い「CCC」格付け債にペナルティーを科している。この2週間に欧州のこうした債券のスプレッドは、新型コロナウイルス禍であらゆる産業が機能停止状態となって以来と、10年余り前にユーロ圏が債務危機が見舞われて以来の高水準に達した。米国ではスプレッドの拡大はそれほど大きくはないが、それが生じていることに変わりはない。
何年も前から資産運用会社はリターン向上を目指し格付けが最も低い債券を購入してきた。各国・地域の中央銀行の低金利政策で企業がデフォルトに陥る可能性が低かったためだ。数十年ぶりの急ピッチで利上げが進んだことで、一部の企業はかなり割高な水準での借り換えを迫られ、苦しい状況に追い込まれつつある。その結果、債券投資家にはヘアカット(債務減免)の脅威が大きくなっている。
ティケオー・キャピタルの資本市場戦略責任者、ラファエル・テュイン氏は「今後、多少の痛みがあるだろう」とし、「利上げの効果が顕在化するまでに1年半から2年を要するというのが通説だ。今がその時期だ」と指摘した。
原題:Riskiest Junk Is Shunned on Rising Default Threat: Credit Weekly(抜粋)
--取材協力:Helene Durand、Bruce Douglas、Alexander Nicholson.
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Abhinav Ramnarayan