売上を指標にせずに「業績を上げ続けている企業」の共通点
人は、選択肢が多いほど動けなくなってしまう
いわゆる「仕事の成果を測るモノサシ」として最もよく使われているのは、「売上」でしょう。 でも、私の周りに「売上」を指標としている人はほとんどいません。結果的に「売上が上がってしまった」という会社はあっても、最初から「売上UPを目指す!」というお題目を掲げてはいないということです。 一方、「利益」こそ目標にすべきだと言う人も多いでしょう。それは間違ってはいませんが、問題は、利益を上げる方法はいくらでもあることです。売上を上げるのはもちろん、原価を下げる、人を減らす、広告宣伝費を使わない、などなど。 そして、悩ましいのは、売上と利益は常に反比例しがちだということです。例えば、いくら売上が上がっても、原価や人件費がそれ以上に上がったら、利益は減ってしまいます。かといって、原価や人件費を下げると、質が落ちて売上も減ってしまう。まさに二律背反です。 つまり「利益を目指そう」という目標だけでは、選択肢が多すぎて、逆に何をしたらいいのかが明確にならない。結果的にチームの足並みがバラバラになってしまうのです。 売上でも利益でもなく、「顧客の数を増やす」ことだけを指標にする。すると、売上も利益も確実に上がります。その詳しい理由は改めてお話ししますが、大事なのは「目指すべきものを一つにすると、人は、悩まなくなる」という事実です。 行動経済学では、「人は、選択肢が多いほど悩む」とされています。プリンストン大学のエルダー・シャフィール博士が提唱した、「決定回避の法則(選択回避の法則)」と呼ばれるもので、選択肢が多すぎると人はより良いものを選びたいと悩み、結果、何も選択しないという行動を取るというのです。 逆に言えば、目指すべき指標をたった一つに絞れば、迷いは消え、行動は力強くなるのです。
「リピーターを増やす」では経営が安定しないワケ
まず、大前提として「顧客とは誰か?」を定義します。 一度でも自社の商品を買ってくれた人、サービスを受けてくれた人。これは、私の定義では「お客」となります。その後、二度三度と買ってくれた人は「リピーター」になります。ここで言う「顧客」とは、その先の概念です。それは、以下の3つの心の在りようを持つ人のことです。 1. 愛着を持っている 2. 信頼を寄せている 3. 共感を抱いている ひと言で表すと「絆」ということになるでしょう。自分あるいは自社との間に「絆」がある人こそが、顧客です。 例えば、あるドラッグストアに初めてお客さんが来てくれた。これは「お客」です。そのお客さんが毎日のように来るようになってくれた。これは「リピーター」です。でも、近くに新しいドラッグストアができたら、途端に来なくなってしまった。そういう人はリピーターではあっても「顧客」ではありません。 「顧客」とは、「その店に愛着と信頼と共感を持っている」から、もし近くに別の店ができても、あえてその店で買おうとするし、口コミで広めてくれたりもする人のこと。言い換えると「ファン」となるでしょう。 よく、「リピーターを大事にすべき」と言われますが、それだけでは安定的な売上にはつながりません。つまり、「明日の売上の心配からは逃れられない」ということです。