『明日カノ』作者、新連載はリアル路線からの脱却 情報収集はSNS…女性の悩み描く理由
■『明日カノ』連載時はSNS感想見て「メンタルが落ちちゃう」 経験がいきた新連載
新連載に向けた情報収集では、インスタグラムやX、作中に出てくるために入れたBeRealなど、さまざまなSNSを駆使。「いろんな人の考えが赤裸々に出てくるので、こういう考えの人もいるなとか、自分には全くない発想の意見とか書かれているとプロフィールを見に行ってその人の生い立ちを想像しちゃいます」という。 『明日カノ』連載時は作品の感想に振り回された経験も。「読むとメンタルが落ちちゃうので、メンタルが元気なときは見てダメな場合は見ないようにとは思っていました。それでも気になって見ちゃって(苦笑)。担当さんからは振り回されたら良くないから見るなと釘を刺されました」と明かし、「その経験が新作にいきているかも」というポジティブな思考に変換する。 今作のテーマを、「人は多面的だし、裏も表もあるし、その人にしか見せない顔もある。そういうことを描きたい」とをの。女性の悩みやコンプレックスが見え隠れし、『明日カノ』にも通じるような要素も盛り込まれている。 そうした作品を描き続ける理由を、「根暗だからですかね」と笑いつつ、「私は人と上手く関係を築けてきたかというと、全然そうではない人間なので、テーマにしやすい部分もあるのかな」と分析する。 「人付き合いを続けるのは結構大変という想いがあるし、ましてや今だとSNSもあって余計に上手くいかないことも多い。インスタの“親しい友達”を外されたとか、ストーリーの足跡がついている、ついていないとか、今の若い子たちは大変だろうなと思いながら描いています」。 さらに「明るい漫画、みんなが読むような傑作の漫画でも、ハッピーエンドのシーンよりも途中でキャラがもがき苦しんだり、何かを変えたくても変えられないと悩んだりしている姿を読む方が好き」とにっこり。「明るくキラキラした楽しく読める漫画を描いてと言われたら、すごく難しいかもしれないです」と言ってほほ笑む。 ■『明日カノ』ヒットの要因は? デビュー作にしてヒットを記録した『明日カノ』。自身は支持された理由をどう捉えているのだろうか。 「出てくる女性たちはレンタル彼女やっていたり整形していたり、クセ強い子たちばかりですけど、その子たちの感情はレン彼をやっていなくても、整形していなくても、ホストに通っていなくてもわかると思う。そういう部分を描けたこと、共感してもらえたことが良かったのかなと思います」。 今後の漫画家としての展望を聞くと、「『明日カノ』みたいな作品を描かせたらすごくいいか、オールマイティに描ける。どちらかでも言われるようになれたら本望です。まだ2作目なので、今後は何を描けるかは想像できないですが、いろいろやりたい気持ちはあります」と思いをはせる。 衝撃的なシーンから開幕する新作。「連載が決まってフィールドワークした渋谷の夜の街の雰囲気も感じてほしいし、何が起きるかわからない予測不可能な物語を楽しんでほしい。」と見どころを語った。 (C) Hinao Wono / Cygames,Inc.