箱根駅伝5位→5位から3強崩しへ 10時間50分切りに現実味、早大が目論む「ひょっとして…」の条件
区間のポイントはやはり山「下りを強化して誰を置くか」
2024年シーズンは、出雲、全日本と國學院大が優勝し、箱根で3冠達成できるかどうかがフォーカスされている。早稲田大は、出雲が6位、全日本は5位と安定しており、箱根でどんなレースを展開するのか、期待を膨らませている人が多い。 ――今年は國學院大、駒澤大、青学大の3強と言われていますが、上位校との差をどう考えていますか。 「うーん、やはり上位3校が100%の力を発揮すると、そこに食い込むのはなかなか難しいですね。たぶん、この3チームは、10時間45分を切ってくると思うんです。うちは10時間50分を切るのを目標にしているので、その差はまだ少しあると思っています。実際、今年の全日本で優勝した國學院大とは5分の差がありますから、単純に倍にすると10分の差がある感じなので、箱根ではなんとか5分以内に差をとどめておければと考えています」 ――区間のポイントとしては、やはり山ですか。 「上りは、前回5区6位の工藤がいますので今年も行けると思いますが、下りは北村(光)が卒業してしまったので、そこが早稲田大にとってポイントになりますね。そこを強化して誰を置くのか。あと、主要区間で他の大学と比べると、持ちタイム的には劣っているので、そこで区間賞争いをしてくれる選手が出てくるとチームとして一気に上に上がって来れるかなと思います」 ――3強の牙城を崩せるチャンスはありますか。 「自分たちの力を出し切れば、箱根で10時間50分を切れるところには来ていると思います。それを実現すれば、昨年度でいえば3位に入れるわけです。城西大が10時間52分台で3位でしたからね。全日本から2か月で力を上げて実力で優勝するのは正直なかなか難しい。自分たちが100%を出しつつ、周囲が崩れていけば相対的に順位が上がっていくと思うので、とにかく運とチャンスをしっかりと掴んで、力を出し切ることですね。そうしたらひょっとして、というのが起こるかもしれないと思っています」 (終わり) ■花田 勝彦 / Katsuhiko Hanada 1971年6月12日、京都市生まれ。彦根東高(滋賀)を経て、早大で第69回(1993年)箱根駅伝4区区間賞を獲得し、同大会の総合優勝に貢献。エスビー食品に進み、1994年日本選手権5000m優勝。1997年アテネ世界陸上マラソン代表、1996年アトランタ五輪1万m代表、2000年アテネ五輪5000m、1万m代表など国際舞台でも活躍した。2004年に引退後は指導者に転身し、同年に誕生した上武大駅伝部で監督就任。2008年に箱根駅伝初出場に導くと、退任まで8年連続本戦出場を果たした。2016年にGMOインターネットグループ監督に就任し、駅伝参入初年度の2020年ニューイヤー駅伝で5位入賞。2022年6月に早大駅伝監督に就任し、今季が3シーズン目。2024年11月に著書「学んで伝える ランナーとして指導者として僕が大切にしてきたメソッド」(徳間書店)を上梓。 佐藤 俊 1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)など大学駅伝をはじめとした陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。
佐藤 俊 / Shun Sato