紛糾した“誤審騒動”に「一本を取るしかない」…柔道81キロ級金・永瀬貴規(31歳)はなぜパリで圧勝できた?「会場は当日まで行きませんでした」
準々決勝は世界ランク1位と「8分超の激闘」
準々決勝で対戦したのは、ベルギーのマティアス・カッセ(27歳)。東京オリンピックの銅メダリストで、対戦時は世界ランク1位の強豪だ。しかも3月に開催された「グランドスラム・タシケント2024」で対戦し、永瀬が敗北を喫した相手でもある。 「組み合わせが決まる前から、順調にいけば準々決勝で当たるというのはわかっていたので、日本にいる時からカッセ選手を意識していました。流れが悪くなると捨て身技をかけてくる選手なので、その戦術を分析し、石内に試合展開までリクエストし、稽古をしていたのです」 延長2分40秒すぎ、永瀬は大外刈りで技ありを奪い、勝利を決めた。本戦、延長を合わせると8分近い激戦だった。 「今振り返ると、3月の敗戦がものすごく役に立っていました。負けたことで得ることの大きさを改めて噛み締めましたね。東京オリンピックのときも、2021年3月のグランドスラム・タシケントで敗れた選手と2戦目で当たったのですが、1年前の敗戦を克服してリベンジすることができた。準々決勝も、負けが活きた試合だったと思います」 控え室で準決勝を待つ永瀬は、柔道における「強さ」について想いを巡らせていた。 「私は、勝ち続けてきた選手ではありません。何度も負けて、むしろ悔しさを噛み締めてきた選手です。パリで戦っている最中、はっきりとわかったんです。今ある自分の柔道は、負けた試合から目を背けず、その原因を打ち消す稽古を繰り返したからこそ、手に入れられたものなのだ、と」 <次回へつづく>
(「オリンピックPRESS」小松成美 = 文)
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