紛糾した“誤審騒動”に「一本を取るしかない」…柔道81キロ級金・永瀬貴規(31歳)はなぜパリで圧勝できた?「会場は当日まで行きませんでした」
「不可解な判定が出る可能性はどんな試合にもある」
直後から、「待て」が活かされなかったことへの批判がメディアで報じられる。その様子をテレビで見ていた永瀬は、自らにこう言い聞かせた。 「自分の試合でも、こうしたことは起こりうると考えていました。不可解な判定が出る可能性はどんな試合にもある。それを防ぐためには、しっかり技をかけきり、一本を取るしかない」 永山は敗者復活戦で勝ち上がり、3位決定戦でトルコのサリフ・ユルドゥズ(23歳)には一本勝ちして、銅メダルとなった。さらにその翌日、66キロ級の阿部一二三(27歳)が見事に金メダルを手中にし、73キロ級の橋本壮市(33歳)は銅メダルを獲得する。 そして7月30日。永瀬も戦いの朝を迎える。 「前夜はよく寝られました。不安な気持ちで目覚めることもなかった。男子柔道は各々が目標を胸に戦い、金メダルを達成できた選手もいれば、できなかった選手もいた。けれど、3階級ともメダルを獲得していましたから、日本チームとしてはいい流れでした。その流れを私が断ち切るわけにはいかない。この時には『金メダルを取る』とはっきりと言葉にして考え、会場へ向かいました」 初戦となる2回戦の相手は世界ランク66位ウルグアイのアレイン・アプラミアン(36歳)。 「相手に寝技をかけられる場面もあったのですが、地力に差があり、慌てることはなかったです。内股から寝技に持ち込み、上四方固めで押さえ込んで、合わせ技1本で勝利しました。2分足らずの時間、想定通りの戦いでした」 続く3回戦、トルコのベダト・アルバイラク(31歳)との試合では組手で主導権を握り寝技に持ち込んだ。相手の体力を奪うと、ゴールデンスコアで内股技あり。準々決勝へ駒を進める。 「アルバイラク選手とはこれまでも何回も対戦したことがあるので、二枚腰の選手であることは知っていました。延長までもつれてしまいましたが、チャンスは絶対来ると思っていました。だから絶対に引かなかった。思い切って技をかけていきました。その気持ちが途切れなかったから得られた勝利でした」
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