高校サッカートップを驚愕させた15歳の久保建英。「日本を背負って立つ」
青森山田は昨年、高円宮杯U‐18サッカーリーグの最高峰に位置するプレミアリーグEASTで、FC東京U‐18に2戦2勝の成績を残している。 ホームで2‐1で勝利した昨年6月の第6節で久保はベンチ入りしていなかったが、勝った方が優勝となる同12月11日の最終節では途中出場。試合は1‐0で勝利したものの、キャプテンのMF住永翔をして「ボールのもち方などは、中学生とは思えなかった」と言わしめるほどの残像を刻まれた。 あれから2ヶ月とちょっと。プレミアリーグWESTの覇者・サンフレッチェ広島ユースとのチャンピオンシップを制し、悲願の全国高校選手権初制覇へとつなげた青森山田勢を中心とする日本高校サッカー選抜に、久保は少なからず脅威を与えた。 集合から2度行った練習で、黒田監督は球際で激しく当たることで自由を奪えと檄を飛ばした。それでも一瞬の隙を与えれば、チャンスを作られる。たとえば後半9分には、実際にシュートまで、それも際どい弾道のそれを放たれるシーンを演出されている。 右サイドで味方と短いパスを交換しながら、ドリブルを仕掛けようとした直後だった。自分自身に何人かのマークがつくのを見越したうえで、がら空きになった左サイドへ横パスを一閃。オーバーラップしてきたDF青山夕祐(名古屋グランパスU‐18)のシュートを引き出した。 一瞬ながら肝を冷やしたシーンに、日本高校サッカー選抜でもキャプテンを務めた住永は「1対1のデュエルでは負けないことを意識したんですけど」と思わず脱帽の表情を浮かべた。 「相手の逆を突くのが上手い。ボールをもって速いスピードのドリブルを仕掛けているときでも、逆サイドに長いパスを出せるのは姿勢がいいからでしょうね。顔を下げずに、頭がぶれることのない姿勢でドリブルできるから、感覚視野で味方がどこにいるのかがおそらく見えているんだと思います。 こちらが食いつきすぎるとドリブルではがされるし、逆に間を取りすぎるとプレーのスピードをあげられる。そういう部分の駆け引きが難しくもあり、楽しくもありました」 FC東京側からの要望もあり、試合後の久保は両チームの選手のなかでただ一人、取材対応を受けなかった。Jリーグ及びFC東京の関係者に付き添われながら、会釈をして取材エリアを通過している。 今シーズンもトップチームに2種登録されれば、FC東京U‐18に籍を置いたまま、トップチームおよびJ3に参戦しているFC東京U‐23でのプレーが可能になる。青森山田からFC東京に加入した廣末は、同じピッチでプレーすることになるかもしれない3歳年下の後輩を、頼もしそうな視線で見つめた。 「やはり技術はとんでもないものをもっている。僕らが激しくいくとまだちょっと…体の面も中学生という部分はありますけど、素質はそれを補ってあまりあるものがある。これからの日本を背負って立つ、思えるくらいに」