姉と兄が相次いで死亡…悲運の一族に生まれた“ガラスの天才少女”の運命は? 幻の三冠牝馬の逸話「顔も仕草も愛らしく、どこにこんな力が…」
福永祐一の評価は「完璧に運ばなくても勝てる馬」
福永はレーヴディソールに関して、「すべて完璧に運ばなければ勝てないというレベルの馬ではない」と話していた。多少、条件が合わなかったり、不利があったりしても、これだけ力が飛び抜けていれば、少なくとも同世代の争いとなる牝馬三冠路線では負けることはないように思われた。 血に宿る危うさを出さず、無事に成長すれば、ウオッカやダイワスカーレット、ブエナビスタといった名牝と同等か、それらを上回る存在になっても不思議ではない“ガラスの天才少女”。化け物のような強さを発揮しながら、ルックスは愛らしいままだったことが、余計に底知れぬスケールを感じさせた。 しかし、桜花賞の前に右橈骨遠位端を骨折。春シーズンを治療と休養にあてることになった。 同年11月のエリザベス女王杯で約8カ月ぶりに復帰し、3番人気で11着。翌月の愛知杯では1番人気に支持されたが、4着に敗れた。 翌12年の年明け、出走を予定していた京都金杯を右後肢の飛節の不安で回避。その後、右前脚の剥離骨折も判明し、手術を経て復帰を目指したが、断念。現役を退くことになった。 残念ながら、3歳春までに見せた圧巻のパフォーマンスを取り戻すことはできなかった。 引退後は故郷のノーザンファームで繁殖牝馬となり、毎年のように元気な仔を産んでいる。 重賞を勝つような仔は出ていないが、すでに繁殖生活に入っている娘たちもおり、母レーヴドスカーを牝祖とする牝系の枝葉は大きくひろがろうとしている。そこからまたこのレーヴディソールのような大物が出るか。楽しみに待ちたい。 <ヤマニングローバル編もあわせて読む>
(「沸騰! 日本サラブ列島」島田明宏 = 文)
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