その数1万品目以上!寿司からパン、冷やし中華まで…「冷凍食品」はなぜこんなに美味しくなったのか
ガラス皿や丼に載せて温めるだけで、アツアツの炒飯やラーメンができる―その手軽さと美味しさから市場は拡大の一途。大手スーパーでは冷凍食品専門の売り場も広がった。その秘密に迫ろう。 【写真】韓国・文在寅の「引退後の姿」がヤバすぎる…!
銀座の味をそのままに
「冷凍食品に対して、世間的にはネガティブなイメージがまだあると思います。ですが、われわれが実際に食べて、握りたての寿司と区別がつかないほど質の高い商品ができたので、とても驚きました。弊社代表や総料理長も、『これならいける』と自信をもっています」 このほど高級冷凍鮨の商品化を実現したという「銀座おのでら」の国内事業統括・大西裕氏がそう語る。冷凍機メーカーと共同開発した「鮨 銀座おのでら 江戸前冷凍鮨」は、特殊冷凍機を使用してシャリとネタを同時にマイナス40℃で冷凍している。 ネタは真鯛やヒラメ、カンパチ、イクラなど。実際に食べてみると、中トロは柔らかくてみずみずしく、口の中で脂がふわっと溶ける。赤酢が使われたシャリも、ネタとよく調和している。 「冷凍するのは店で提供するのと同じネタで、豊洲で仕入れたらその日のうちに握って冷凍します。来年2月に完成する生産工場では一日8000貫ほどをつくる予定です」 '21年、「麻布 鮨心」が冷凍江戸前鮨「旬瞬凍シンニギリ」を販売して以来、冷凍の高級寿司に注目が集まっているように、冷凍食品の進化が止まらない。寿司だけではなく、高価格帯の冷凍食品が次々と販売されているのだ。 冷凍技術のコンサルティング・マーケティング支援事業を行う、株式会社えだまめ代表取締役の成田博之氏が語る。 「京都の『京料理 道楽』、赤坂の『懐石 辻留』などの老舗料亭が10万円以上で販売する冷凍おせちやミシュラン三つ星シェフが手掛ける料理、あるいは単品を皿で解凍して盛りつけるだけで本格フレンチになるコース料理までも自宅で食べられるんです」
冷凍食品の高付加価値化
冷凍食品なんて所詮は弁当のおかずに使うもの―そんな考えはもう古い。定番の餃子や炒飯はもちろん、流水解凍ですぐ食べられる刺身や、自然解凍で食べられるパンなどの商品が、コロナ禍での需要の高まりを受けて大量に登場した。 「年に50万人以上の人口が減る日本で、1兆円を超える規模の冷凍食品マーケットがまだ伸びていることは驚異的です。その理由として私が注目しているのは、冷凍食品の高付加価値化です。『美味しければ、高価な冷凍食品もアリだよね』と世間が受け入れていることで、市場が拡大しているのです」(成田氏) 日本冷凍食品協会の統計によると、日本人ひとり当たりの消費量は'23年で23.2kg。30年前の13.6kgと比べると、倍近くに伸びている。 冷凍食品ジャーナリストの山本純子氏が語る。 「家庭用の冷凍食品は、約1万品目ほど流通していると言われています。この中には、近年急速に増えている問屋を介さないネット販売の商品は含まれていませんから、実際にはもっと多くの商品が販売されています。 '23年の冷凍麺の生産食数は20億食を超えました。ひとり当たり年間約16食と、月に1回以上は必ず冷凍麺を食べている計算になります。品目として大きく伸びているのは、中華麺。'22年は前年比120.7%でしたが、その頃から冷凍ラーメンがブームとなっています」