【2024新語・流行語大賞候補30語 】 「はて?」「ふてほど」が象徴する不条理へのモヤモヤと、それを払いのける大谷選手の「50-50」など
気が付けば2024年も残り2カ月を切った。年末恒例「2024 ユーキャン新語・流行語大賞」(自由国民社『現代用語の基礎知識』選)候補には、大谷翔平選手の活躍を象徴する「50-50」や、パリパラリンピックで金メダルを獲得した車いすテニスの小田凱人選手の「やばい、かっこよすぎる俺」などスポーツ関連の言葉が複数入った。一方で、世の中の不条理に対するモヤモヤ感が高まっていることを感じさせる言葉も。「はて?」何が大賞に選ばれるのか?
2023年ユーキャン新語・流行語大賞は、38年ぶりに日本シリーズを制覇した阪神タイガースのチームスローガン「A.R.E.(アレ)」。虎の勢い、4月スタートのNHKの朝ドラ「虎に翼」に引き継がれた。世の中の不条理に対して寅ちゃんこと寅子が発する「はて?」の一言にはっとさせられることが多かった。 TBS系の金曜ドラマ枠で放送された『ふてほど=不適切にもほどがある!』は1986年と2024年をタイムスリップしながら時代や世代のギャップを描き出した。マルチクリエイターこっちのけんとが配信した楽曲『はいよろこんで』の生きづらさを歌う内容が共感を呼んだ。みんな「はて?」を抱えながら生きていることを象徴しているのかも。 日頃のもやもやした気分を吹き飛ばしてくれたのはやっぱり大谷翔平選手。もはや、何が新記録なのかよく分からないほど次々と偉業を達成。前人未到の50-50(最終的には54本塁打、59盗塁)を成し遂げ、ドジャース移籍1年目にして目標にしていたワールドシリーズも制覇。 夏の暑さを吹き飛ばしてくれたパリ五輪・パラリンピックでの選手たちの活躍。女子のフィールド競技で日本初の金メダルを獲得したやり投げの北口榛花選手のはじける笑顔はステキだったが、本人は「名言が残せなかった」と悔しがる。一方で、パラの車いすテニスで初出場にして金メダルを獲得した小田凱人選手は「やばい、かっこよすぎる俺」と清々しい名言を残してくれた。次のパラも期待してますよ! パリ五輪で別の意味で注目を集めたのが初老ジャパン。総合馬術団体で92年ぶりに銅メダルを獲得したチーム4人の平均年齢は41.5歳だったが、10代のメダリストが次々と出る中、自虐的に初老を名乗った。放送作家の鈴木おさむさんは、自著『仕事の辞め方』の中で、放送作家を引退した理由を自身が「ソフト老害」になっていることに気付いたからと述べている。鈴木おさむさん、現在52歳。もう老害? 訪日外国人が過去最高ペース。円安効果もあって豪華なインバウン丼が飛ぶように売れるうれしい悲鳴の一方で、オーバーツーリズム問題も深刻に。背景に富士山がくっきり見えるコンビニ富士山に観光客が殺到。交通ルール無視の撮影に業を煮やし、目隠し用の柵を設置したのが話題に。 犯罪もSNS時代。匿名性の高いアプリやSNSで実行役を集め、互いの素性も知らずに指示された通りに犯罪に手を染める匿名・流動型犯行グループトクリュウによる犯罪が多発。送迎や引っ越し業務など通常のアルバイト募集を装い、「ホワイト案件」をうたい、ブラックではないことをアピールする手口が増えている。 派閥の裏金問題で政治不信が高まり、石破内閣発足間もない時期に実施された衆院選挙では連立与党は過半数を失い、政権の枠組みは流動化しているが、聞こえてくるのは自己弁護や足の引っ張り合いばかり。超高齢化、災害対策、経済再生…課題が山積する中、「はて?」、選挙公約はどこまで守られるのか。 被爆者の全国組織、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞受賞が決まった。長年の活動が認められたことのうれしさの一方で、それだけ核の脅威が迫っていることを感じさせる。来たる2025年、平和な年になりますように。 トップ10、年間大賞は12月2日に発表される。