顧客と深く長い関係性を構築する会員向けプログラムとは?ユナイテッドアローズの藤原CDOに聞いてみた
会員向けプログラムを2023年8月にリニューアルしたユナイテッドアローズは、早くも手応えを得ているという。リニューアルポイントは、ロイヤルティを高め、LTV(顧客生涯価値)の引き上げにつなげるか。刷新を機にユナイテッドアローズが新たに構築した顧客コミュニケーション設計について、OMO戦略を推進する執行役員CDOチーフデジタルオフィサーの藤原義昭氏に聞いた。
LTVアップをめざした会員向けプログラムの刷新とは?
■ デジタル戦略の一環で「UAクラブ」を旗揚げ
従来は「ハウスカード」だった会員向けプログラムを「UAクラブ」に刷新したユナイテッドアローズ。2025年を最終年度とするユナイテッドアローズの中期経営計画では、主要戦略の1つとしてデジタル戦略を掲げており、刷新はこの一環となる。
「UAクラブ」の特徴は次の通り。
・ポイント「マイル」をクーポンに交換可能 ・全社共通ステージの導入:ブランドごとの年間購入金額に応じて設定されていた会員ランク条件などを廃止し、全ブランド共通のステージと特典制度に変更した ・獲得したマイルの数に応じてステージアップする
■ ただのデジタル化ではなく「いかに顧客と長くつながるか」 会員向けプログラム刷新の狙いは大きく2つある。1つは、DXの戦略の一環だ。 ┌──────────
単純にデジタル化するという意味ではなく、お客さまとどうやって長くつながるか(=LTV向上につなげられるか)みたいなところを重要視しています。刷新はそれに向けての打ち手という意味合いもあります。
└────────── 2つ目は、店頭で顧客としっかり対話し、コミュニケーションを深めているという“ユナイテッドアローズならではの強み”をECチャネルでも生かすこと。ユナイテッドアローズでは「この店って心地いいな」「このスタッフって話しやすいな」「このECサイトは使い心地がいい」――といった、顧客の感覚に寄り添い、潜在的なニーズに応えることを重視しているという。 オンライン施策ではメールマーケティングに力を入れており、メルマガの平均開封率は約30%と高水準を維持。会員プログラム刷新により、さらに一歩進んだ顧客コミュニケーションを実現したい考えだ。 ┌────────── 店舗でもECでも、初めて来ていただいたお客さまにその良さをすべてわかっていただくことは困難です。だからこそ、長くつながる必要がある。そのためにタッチポイントを多くする必要があるのです。 今の時代のロイヤルティ施策は一般的に、単純に経済的なインセンティブだけをお客さまに付与するケースが多く、本当の意味で自社を選んでもらうことが非常に難しくなっている時代だと思っています。(藤原氏) └──────────