陰謀論にデマ、誤報。SNS時代におけるイギリス王室のメディア戦略の危機
今年に入ってから吹き荒れているキャサリン妃を巡るネット上の陰謀論。なぜ、イギリス王室はメディアのコントロールを完全に失ってしまったのか。これまでのイギリス王室のメディア戦略を振り返りながら、彼らが直面する問題をあぶりだし、今後とるべきアプローチについて考察。UK版『ELLE』より。 【写真】妻ラブ♡ウィリアム皇太子のキャサリン妃への愛が溢れるフォトアルバム
収束を見せないキャサリン妃をめぐる陰謀論
「キャサリン妃には影武者がいた」 「実はキャサリン妃は現代アーティストのバンクシー」 「年末に豊尻手術を受けてダウンタイム中」 「ウィリアム皇太子と離婚危機」 1月にケンジントン宮殿がキャサリン妃の「腹部の計画的手術」とイースター後までの療養計画を発表して以来、彼女の病状や居所、さらにはウィリアム皇太子との婚姻関係にいたるまで、ネット上では英王室キャサリン妃についてさまざまな陰謀論が猛威を振るっている。
母の日の写真をめぐる騒動
指先のワンクリックとエアブラシの一刷毛で、キャサリン妃は「誠実」で「透明性がある」という、王室が築いてきた砂上の楼閣の中核となる信条の一つを解体してしまった。彼女は母の日の写真に加工を加えたことで(その後彼女は謝罪した)、プリンセスたちも人々同様に間違いを犯すことがあり、完璧を求めることに悩まされていることを証明したのだ。
2024年は“恐怖の年(アナス・ホリビリス)”の再来か
度重なる王子たちの結婚の失敗やウィンザー城の大火災など、王室にとって“恐怖の年(アナス・ホリビリス)”だった1992年同様に、王室とメディアの間で緊張が高まるなか、 今回のキャサリン妃の一連のスキャンダルによって明らかになったのは、今日の王室は自分たちの評判と存在自体を完全に飲み込む恐れのある陰謀論の沼に、決定的な計画を持たないまま自由落下しているということだ。今、彼らを突き刺しているもの、それはSNSだ。
SNS時代に変貌を遂げた英王室
現代の王室はソーシャルメディアの台頭と並行して進化してきたと言っても過言ではない。 2006年にTwitter(現X)が誕生以来、WhatsApp、Instagram、Snapchat、TikTokと次々に新たなSNSサービスが登場。この間に、ウィリアム皇太子はケイト・ミドルトンと出会って結婚。ヘンリー王子はメーガン・マークルと結ばれ、チャールズ国王は(遂に)カミラ夫人と誓いの言葉を交わした。