J-POP世界に浸透、業界構造変化でチャンス-韓国勢に迫る勢い
(ブルームバーグ): 米ロサンゼルスで昨年開かれた韓国のポップミュージックファンが集うフェスで、新人女性グループのXGが数万人の大観衆の前でK-POPグループ2NE1のカバーを披露し、大歓声を浴びた。スケルトン柄のコスチュームにタンクトップ姿のメンバー7人に韓国人はおらず、全員日本人だった。
結成2年のXGは、K-POPのシステムを模倣することで世界的な人気を獲得しようとしている。韓国で英語の曲「Tippy Toes」でデビューするまで3年以上、徹底的なトレーニングを受けた。東京での初の単独有観客ライブを完売させた後、フェスのヘッドライナーとなり、今年は世界ツアーを計画している。
「私たちの音楽は、今までにない本当に面白い方法で広まっている」とプロデューサーのサイモン・パーク氏はインタビューで話した。
欧米で活躍する日本のアーティストが増えており、XGはそのうちの1組だ。XGがK-POPの手法を取り入れる一方、YOASOBIやAdoなど他のJ-POPスターたちは、もう一つの日本文化であるアニメに楽曲を提供するなど、それぞれの手法で海外を含めたファン層の拡大を進めている。
何十年もの間、22億ドル(約3300億円)規模の国内市場に大きく依存してきた日本にとって、これは劇的な変化だ。調査会社ルミネイト・データによれば、世界で再生された上位1万曲に占める昨年の日本の音楽の割合は前年比で50%増加し約2.1%となった。シェアは小さいが、約2.4%だった韓国語の楽曲の規模に近づいている。
XGの躍進には、米国に次ぐ世界2位の規模を持つ日本市場がストリーミングに移行し、J-POPの楽曲がより広く行き渡るようになったことが貢献している。日本レコード協会によると、日本におけるデジタルソースからの収入は、18年の約21%から昨年は35%に上昇した。
西洋音楽に触発されて約100年前に誕生した日本のポップスは、20世紀半ばにはフォークやロックへと進化。1980年代にはエレクトリックサウンドやジャズ、フュージョンを取り入れて「シティ・ポップ」というジャンルを作り上げた。