「GTO」「神の雫」などのヒット作を手がけた樹林伸が考える「いいMANGAの定義」[FRaU]
小説家でもある樹林さんがストーリーにこだわる理由は、「ストーリーは、それを読んだ人の生き方に影響するから」なんだそう。 「MANGAの主人公の生き方には、美学があってほしいと思うんですよ。『勝つ』ことがすべてじゃなくて、『あしたのジョー』のような、『やり尽くした』人生を追うものの方が、読んだ人の心には残る。勝利がすべてじゃないことを教えてくれるような、そんな美学が、いい漫画にはあると思います」
最近は、海外に行くたびに、「今は世界中で日本がブームだ。もっとどんどん面白い日本のコンテンツを広めてほしい」と声をかけられることも多いという。 「最初に『ワインが主役の漫画を作ろう』と発想した根底には、『一つのワインから広がるイメージは、日本人もフランス人も変わらないんじゃないか。人間には、人種を超えた共感覚があるんじゃないか』という思いがあったんです。実際今、MANGAを通して様々な共感覚が生まれている。日本発のコンテンツは平和的で、繊細で華麗で、ストーリーに満ちていると思うので、もっといろんなコンテンツが世界に発見されていけばいいなと思いますね」 樹林伸 1962年生まれ。東京都出身。漫画原作者、小説家。姉・樹林ゆう子と亜樹直名義で「神の雫」の原作などを手がける。ワイン、音楽への造詣が深い。小説家としての著書に、「ビッド・トレーダー」「陽の鳥」「ドクター・ホワイト」など。 ●情報は、FRaU2024年6月号発売時点のものです。