【選手権】流通経済大柏がプレミア王者・大津を振り切り8強進出
第103回全国高校サッカー選手権大会は2日に3回戦8試合を実施。フクダ電子アリーナで行なわれた流通経済大柏と大津の一戦は、2-1で流通経済大柏が勝利した。4日の準々決勝では上田西と対戦する。 【フォトギャラリー】流通経済大柏 vs大津 「高校サッカーは最高です。マジで。気持ちいい。決勝戦ではなく3回戦で、まだ先はあるのですが、彼らも今日は良い顔をしていて本当に感動しましたね」。試合を終えて、ミックスゾーンに現れた流通経済大柏の榎本雅大監督は開口一番、そう口にした。前後半通して激闘が繰り広げられ、どちらが勝ってもおかしくない高水準なゲームで、14,235人もの観客を魅了したのは間違いない。 両監督が「スタイルは似ていると思っていた」と評す通り、ともに自陣からボールを大事にしながらも積極的に前線の選手が相手の背後を狙い、ゴールを目指す攻撃的なチーム。失ってからの守備強度も高く、大津の山城朋大監督は「相手の2トップとうちの山下、兼松のおさめあいになると思っていました。中盤の拾い合いになるともある程度想定していた」と振り返る。 序盤から一進一退の攻防が続いたが、次第に試合の流れは流経大柏に傾き始める。「相手が背後を狙ってくるのはスカウティング通りだったのですが、なれるまでに時間がかかってしまったかなという印象。思ったよりもスピードがあった中、早くあのスピード感に慣れたら良かった」。そう振り返るのは大津のDF5五嶋夏生(3年)だ。 前半15分には左でボールを受けたFW19粕谷悠(3年)が前方のFW9山野春太(3年)に展開し、リターンパスからフリーでシュート。28分には中央をドリブルで運んだMF10柚木創(3年)が、山野に預けたボールを貰いなおして、ミドルシュートを放ったが、GK1坊野雄大(3年)に阻まれた。 息の合った連携でゴール前に出てくる流通経済大柏の攻撃を大津が粘り強く凌ぐ構図が続いたが、36分にはDF3富樫龍暉(3年)のロングフィードから、山野がゴール前をフリーで抜け出すと、左上にシュートを突き刺し、流通経済大柏が試合を動かした。「大津があそこまでプレスに来ると、どのチームも見ても跳ね返せない。(ロングボールが)中盤ぐらいまでしか届かないので、少しキック力のある選手を入れて、裏返したかった」(榎本監督)との意図で、右SBとして起用された富樫のアシストが光る一撃だった。 追い掛ける展開を強いられた大津だが、そう簡単には引き下がらない。「後半(相手は)来るからね。我慢だぞとハーフタイムに話していた」という榎本監督の読み通り、後半からは攻撃のギアを入れていく。 「前半はなかなか自分たちが思うようなプレーができず、山城先生からもこのまま終わったら後悔ばかりが残ると言われた内容だった。相手に多少ビビっていたので、ハーフタイムには怖がらずに繋いでいこうと話していた」。そう振り返るのは五嶋で、後半はテンポよくボールを動かしながら、MF11舛井悠悟(3年)とMF7中村健之介(3年)のサイドアタックを引き出すと、後半8分には左を仕掛けた中村が中央のMF6兼松将(3年)にパス。そこから大外のDF2大神優斗(3年)に入れて、中へのクロスをFW9山下景司(3年)が合わせたが、GK1加藤慶太(3年)のファインセーブに阻まれた。 14分には右サイドから見せ場を作り、CKを獲得。ゴール前に落ちたボールを粘って、MF10嶋本悠大(3年)が後ろに下げると五嶋がゴール左隅に決めて、同点に追い付いた。 このまま逆転まで持ち込みたい大津だったが、この試合3つ目のゴールを奪ったのは流通経済大柏だった。DF4奈須琉世(3年)が後方から入れたロングフィードは大津DFのヘディングに阻まれたが、弾ききれなかったボールを山野が左に展開。反応した粕谷が豪快に決めて、勝ち越しに成功すると流通経済大柏が2-1で勝利した。 (文・写真=森田将義)