アイリスオーヤマ、赤ちゃん用おむつ参入 ヘルスケア育成が再成長の試金石に
アイリスオーヤマ(仙台市)は27日、赤ちゃん用おむつ事業に新規参入すると発表した。顧客との接点が多いヘルスケア事業を強化し、他のアイリス製品を提供する機会を増やす狙いだ。大黒柱となる家電事業の成長が一巡し、アイリスグループの売上高は2期連続の減収となっている。ヘルスケア事業の育成は、グループの再成長の試金石となりそうだ。 ■コロナ収束でおむつ事業に 「衛生用品だけでなく、食品や家電、生活用品もワンストップで買ってもらうモデルを作り、グループ売上高をもり立てたい」 アイリスオーヤマの大山晃弘社長は27日、東京都内で開いたヘルスケア事業の戦略説明会で、赤ちゃん用おむつ事業に参入する狙いを語った。 同日には、王子ネピア(東京都中央区)の赤ちゃん用おむつ「Genki!」ブランドとライセンス契約を締結したと発表。王子ネピアの生産設備の一部を取得、アイリスが飲料水を手がける富士裾野工場(静岡県裾野市)を一部改修して、2025年上旬から生産を開始する。 アイリスはマスクや衛生用品、医療機器など約500点のヘルスケア商品を扱っている。新型コロナウイルス禍でマスク需要が高まり、20年にはヘルスケア事業の売上高が200億円を超えたが、コロナが収束し、23年は半減した。 成長軌道に戻すため、赤ちゃん用おむつ事業への参入を決定。自社が持つ電子商取引(EC)の販売・物流網を活用して収益を伸ばす考えだ。飲料水を手がける富士裾野工場で生産し、運搬するトラックに飲料水と混載することで、物流の効率化を図る。 ■顧客との接点増加で好循環 こうした取り組みを通じ、赤ちゃん用おむつやマスクなどの衛生用品を中心にヘルスケア事業の売上高を2030年に400億円に引き上げる計画だ。 アイリスは2021年度まで30年以上、増収を続けてきた。だが、コロナ禍の巣ごもり需要の反動減などもあって、家電事業が振るわず、22、23年度は2期連続の減収だった。24年度の売上高は食品や省エネ設備を伸ばし、前年度比17%増の8800億円を見込んでいる。 主力の家電は耐久消費財であるため、顧客との接点が年1~3回の頻度だったという。大山氏は「マスクや食品は(顧客との接点が)月1回、月数回あり、他の製品の提供機会にも波及するなど好循環を生み出している」と語る。(黄金崎元)