突然変わった進路…弟は「嫌と思うかな」 兄の告白に「いいね」の返事、二人三脚で掴んだ選手権
「全国大会は2人で楽しみつつ、大学ではバチバチにやり合いたい」
1年時は一緒にプレーできない時期が長かった。入学時から出番を掴んだ陽汰に対し、壮汰は下のカテゴリーでプレー。だが、「壮汰が1年生のチームで活躍した話を聞くと刺激になった」(陽汰)、「常に『俺も頑張らないと』と思えた。持ち味であるドリブルを伸ばしたかったので、ボールタッチの自主トレはあえて陽汰がいない時を見計らってやっていました。ガムシャラになって上を目指せました」(壮汰)と絆は一切変わらなかった。 そして2年の途中から一緒にピッチに立つようになると、3年では攻守において欠かせない存在となっていった。迎えた2人にとって最後の選手権。県予選前に陽汰が負傷し、1か月離脱するアクシデントがあったが、壮汰を中心に3回戦の山場である強豪・刈谷との一戦を2-2のPK戦の末に勝利して準々決勝まで勝ち上がると、日本福祉大学付属との一戦で2人がピッチに揃った。 「陽汰が怪我でいない時期は不安があったのですが、復帰したら安定感が生まれ、本当に頼れる存在でした」と壮汰が振り返ったように、守備に安定感を取り戻したチームは日本福祉大付属を延長戦の末に1-0で下すと、準決勝の大一番・東邦との試合では3-0の完封勝利。決勝も大同大大同を相手に壮汰のゴールなどで3-2と振り切ってついに悲願の選手権出場を手にした。 「大学は別々になるのですが、同じ東海学生サッカーリーグの1部なのでちょっと楽しみです。だからこそ、選手権は高校で一緒にピッチに立つ舞台なので思い切り楽しみたいです」(壮汰) 「全国大会が初めてなので2人で楽しみつつ、大学ではバチバチにやり合いたいです」(陽汰) 待ちに待った夢の舞台へ。愛工大名電の攻守の要として全力でプレーをやり切ることが、常に二人三脚で歩んできた2人のこれからの大きな門出になることを彼らは知っている。
FOOTBALL ZONE編集部