知らないと大損する「障害年金」。内臓疾患や精神疾患、がんも対象で退職後ももらえる充実ぶり
● 勤続年数が25年未満の場合は 25年とみなして計算 給付額は、在職期間中の給与と勤続年数によって異なり、「1級」が【報酬比例の年金額×1.25】、「2級」が【報酬比例の年金額】。「3級」は【報酬比例の年金額】だが、61万2000円が最低保障額となっている。 一時金の「障害手当金」は【報酬比例の年金額×2】で、122万4000円が最低額として保障されている(最低保障額は、生年月日が1956年4月2日以降の場合)。 さらに、障害の状態が「1級」「2級」の人で、65歳未満の配偶者がいる場合は、「加給年金額」23万4800円が上乗せされる(生計維持関係にある場合)。 たとえば、勤続期間中の月収の平均が10万円で、厚生年金の加入期間が10年の場合、「1級」は障害厚生年金が約20万1000円上乗せされて、約122万1000円の給付が受けられる。「2級」は約16万1000円の上乗せがあり、給付額は約97万7000円になる。 障害厚生年金は、勤続年数が25年(300月)未満の場合は、300月とみなして計算するので、たとえ勤続年数が短くても、報酬比例部分の年金額は一定の上乗せが受けられるようになっている。 障害認定を受けている限り、報酬比例部分の上乗せが続くので、厚生年金保険に加入するメリットは大きいのだ。
● 初診日が厚生年金加入中なら 退職後も障害厚生年金がもらえる ただし、病気やケガをして障害年金をもらうには、次の3つの要件を満たす必要がある。 (1) 初診日に被保険者であること (2) 保険料の納付要件を満たしていること (3) 障害認定日に規定の障害状態に該当していること (1)の初診日は、その障害の原因となった病気やケガで、初めて医師の診察を受けた日だ。もらえる年金の種類は、この初診日に加入していたのが厚生年金なのか、国民年金なのかによって変わってくる。障害年金を請求する時点で被用者保険の資格を喪失していても、退職前に初診日があった場合は障害厚生年金の給付対象になる。 障害年金の給付を受けるには、原則的に「初診日がある月の2カ月前までの公的年金保険の加入期間のうち、保険料の納付済み期間(または免除期間)が3分の2以上あること」という要件を満たす必要がある。ただし、特例として、初診日が2026年3月末までは、初診日に65歳未満で、初診日のある月の2カ月前までの直近1年間に保険料の未納がなければ給付を受けられることになっている。 (3)の障害認定日とは、障害の程度を判定する日のことだ。原則的に初診日から1年6カ月たった日の障害の状態で、もらえる年金の等級などが判断される。初診日から1年6カ月経過していなくても、症状が固定した状態になった場合は、その時点で障害認定が行われる。初診日から1年6カ月経過した時点では症状が軽かったものの、その後、症状が重くなって障害状態になった場合は受給できる可能性がある。 このように給付には一定の要件はあるものの、障害年金は病気やケガをした場合の経済的リスクをカバーできる強い味方だ。厚生年金に加入している人には、勤続期間中の所得に応じた障害厚生年金が上乗せされるので、万一の給付額が多くなる。 また、障害年金は、初診日に加入していた年金制度によって給付額が変わってくる。その障害の原因となった病気やケガで、初めて医師の診察を受けたときに厚生年金保険に加入していれば、障害認定日に仕事を辞めていても障害厚生年金の給付が受けられる。 こうした保障を考えると、保険料を負担しても社会保険に加入する価値は十分にあるはずだ。