高齢期の不調には「筋トレ」と「野菜スープ」で対抗!81歳の現役医師が、70代からはじめた健康習慣を紹介
70代の壁は、血管のプラークと体重激減。イスで変化を実感
私の場合、50歳の閉経後、急激にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が上がり、72歳のときに動脈硬化の度合いを調べる頸動脈エコー検査で、軽度のプラークが見つかりました。動脈硬化は、血管壁にコレステロールなどがたまってコブを作り、血流が悪くなった状態をいいます。 プラークは、首の太い動脈にコレステロールや中性脂肪などの脂質が蓄積していることを示し、プラークがある程度以上蓄積すると、動脈硬化となり、将来的に心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすおそれがあるのです。 そのほかは問題なく、大過なく過ごしていました。そして後期高齢者と呼ばれる75歳の誕生日、国立がん研究センター中央病院検診センターで検診を受けたところ、何も問題なく、安心していたのも束の間、その後生活は何も変わらないのに、体重がガクンとへりはじめ、3か月ほどで6キロもやせてしまったのです。 原因は筋肉の減少でした。女性の筋肉量は50歳ごろまでは横ばいで推移、それ以降は減少していくのがふつうですが、私の場合、75歳で一気にへってしまったのでしょう。温泉などで高齢の女性のお尻を目にすることがあるかもしれませんが、女性は年齢とともにお尻の筋肉が削げるように落ちていきます。もともとお尻が大きい体型の私でしたが、そのころは木製の硬い座面のイスに座るとお尻が痛くて痛くて……。お尻の筋肉が半分にへり、いつの間にか驚くほど小さくなっていたのです。 年をとるとお尻の筋肉から削げるようにへっていくことをまざまざと実感させられました。このまま何も対策を講じなければ、「サルコペニア」といって、さらに筋肉量がへり、筋力や身体機能が低下した状態になってしまいます。サルコペニアは、腰やひざの痛み、背中の歪みの原因にもなるため、早急な対策が必要です。
構成/さくま健太