テーブス海が抱き続けたアルバルク東京への思い「『何もしていない選手』に託してくれた感謝の気持ちをずっと持っていました」
「必ずステップアップして次は優勝できるように」
勝負どころにおいて、適切なプレー選択をすることを大切にするテーブスが、第3戦の最も重要な場面で選んだのはパスだった。1点を追う残り22秒からのオフェンスにおいて、テーブスはライアン・ロシターとのピック&ロールからロシターにパス。ロシターは彼の十八番であるミドルレンジからのフローターを放ったが、惜しくも外れた。テーブスはこのプレーについて、「チームとして1番打ちたいシュートでした」と後悔はまったくなかったと強調する。 「僕はライアンがあのシュートを決めているのを何千回も見ているので、絶対に入ると思っていました。あのシュートが外れて、何1つ思うことはないです。もし、来シーズンも同じ場面になって、何を選ぶかといったらライアンとのピック&ロールです。このプレーをもっと極めていきたいです」 A東京での1年目でテーブスは収穫も課題も様々なモノを得た。この充実したシーズンを最後に総括してもらうと、彼から真っ先に出てきた言葉は「感謝」だった。 「自分は(2シーズン前まで所属した)宇都宮ブレックスではメインのガードではなく、滋賀では結果を残せていなかった。なんなら『何もしていない選手』に先発ポイントガードを託してくれた感謝の気持ちをずっと持っていました。だからこそ全試合に出て全力でやりたいと思いました。楽しくチャレンジもできてファンの方々、クラブ側、コーチ、スタッフみんなに感謝しています。残念ながら優勝できなかったので本当に責任も感じています。必ずステップアップして次は優勝できるように頑張りますので、引き続き応援よろしくお願いします」 この取材中、テーブスは何度も「この経験を次につなげなければ」と語っていた。気持ちを整理するのも難しい激闘に敗れた直後にもかかわらず、彼のリベンジへの熱い炎はすでに燃え始めていた。
鈴木栄一