ユーロ・ドルがパリティーにも-米欧利下げ回数の乖離で
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)が今年、米連邦準備制度理事会(FRB)よりも多くの利下げを実施するとみられることから、ユーロがドルとのパリティー(等価)に達するという見方が再燃している。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)やドイツのバーデン・ビュルテンブルク州立銀行(LBBW)などの金融機関は、ECBとFRBの利下げペースの違いに注目する取引が活発になればユーロ安が進むと警告する。
バンク・オブ・ニューヨーク(BONY)メロンのシニアストラテジスト、ジェフリー・ユー氏は、ユーロは年内にドルとパリティーに達する可能性があるとみている。ECBが11日に利下げをする可能性も否定できないという。
今のところ、ブルームバーグの調査に答えたストラテジストの中で、ドルとユーロのパリティーを基本シナリオとしている者はいない。パリティーになるには、ロシアのウクライナ侵攻後の欧州エネルギー危機最悪期のレベルまで、現行水準から約8%下落する必要がある。
しかし、2022年の下落で不意を突かれた後、この可能性を無視しようとする者はほとんどいない。トランプ前米大統領が再選されれば、米国のインフレを引き起こす減税や貿易障壁につながる可能性があるためなおさらだ。
LBBWのチーフエコノミスト、モーリッツ・クレーマー氏は、米当局が金利を維持しECBが緩和すれば「ドルはまるでナイフがバターを溶かすように簡単にパリティーを突き抜けるだろう」と語った。同行はユーロは25年に1.01ドルまで下落すると予想している。
ラガルド総裁率いるECB政策委員会は今週の会合で、6月6日の初回利下げに向け市場をさらに準備させる見込みだ。
投資家から見て、米経済と欧州経済の乖離(かいり)は歴然としている。
5日に発表された米雇用統計では雇用者数が約1年ぶりの大幅な増加となり、失業率も低下。一方、ユーロ圏の経済規模はECBが利上げを開始した22年7-9月(第3四半期)と比べてほとんど拡大していない。