「103万円の壁」見直しに自公が譲歩示す…国民は補正予算案賛成検討、「食い逃げ」には警戒
自民、公明両党は19日、国民民主党が求める「年収103万円の壁」の見直しなどを総合経済対策に明記することで、国民民主に譲歩する姿勢を示した。主張を反映する代わりに、経済対策の財源の裏付けとなる今年度補正予算案について賛成の確約を取り付けたい考えだ。 【図解】一目でわかる…「103万円の壁」見直しのイメージ
19日の自公国3党の政調会長会談で、与党が経済対策に盛り込む文言案を提示した。関係者によると、所得税の課税最低限の103万円については、引き上げに向けて税制改正で今後協議することを明記した。ガソリン減税に関しても税制改正で検討することを盛り込み、方向性だけでも明示するよう求めていた国民民主側に配慮した。
国民民主は、主張におおむね沿っていると評価しており、補正予算案への賛成を検討する。自民の小野寺政調会長は会談後、記者団に「しっかりとした結論を得るように努力していく」と強調した。
経済対策への明記は、国民民主の玉木代表が強く求めていたものだ。19日の記者会見では、「回答ゼロが続くのであれば、これ以上協議はできない」と述べ、「きょう、あすがヤマ場になる」などと与党側をけん制していた。
この日の政調会長会談では、途中で自民側が「時間がほしい」として中断し、提示する文言案を練り直すなど、国民民主の了承を得るための調整が続いた。
少数与党の自公両党にとって、28日召集予定の臨時国会で補正予算を成立させるためには国民民主の賛成が不可欠だ。自公内では、20日にも経済対策案で3党合意が得られた場合には、政調会長間で補正予算成立に向けた合意文書を交わす案も出ている。
ただ、103万円の引き上げ幅など、詳細は今後の税制改正協議に委ねられる。国民民主は、3党の税制調査会長による協議などで主張が実際に反映されるかどうか注視する構えだ。国民民主幹部は「食い逃げされないように気をつけないといけない」と話している。