韓国・尹大統領、14日に弾劾可決は確定的か 大混乱の国内は右派・左派ともに「尹大統領の排除で一致」と政治学者
■尹大統領の行動に議員も軍も困惑
尹大統領の行動には、現地メディアも問題を指摘していた。その一つは、YouTuberに影響を受けていたという疑惑。「大統領がYouTuber5人ぐらいを見てハマってしまい、頭の中にワールド(独自の世界観、信念体系)ができてしまった。今回、国会に戒厳軍を送ったというのも異常だが、選挙管理委員会にも送っている。この4月に行われた総選挙や得票率0.73ポイント差で自分が大統領に当選した選挙で不正が行われたという疑惑が、ごく一部のYouTuberから提起されていたが、大統領がそれを信じて選挙管理委員会に戒厳軍を送って「不正の証拠」を見つけようと躍起になった。国会封鎖も禁じ手だが、選挙管理委員会の封鎖も禁じ手。そもそも北朝鮮と対峙する際に大韓民国、韓国民を守るべき精鋭部隊を、国会や選挙管理委員会という憲法機関に投入したというのは、とてつもない事態だ」と解説した。 もはや「乱心」とまで評される行動に、出動を余儀なくされた軍の中にも戸惑いが出た。本来、軍は大統領の命令には絶対服従するところだが、一部の司令官からは非常戒厳に対して批判的な発言も見られた。これには「韓国の国軍はかつて、光州民主化運動(1980年5月)で自国民に銃を突きつけた経験がある。精鋭部隊もMZ世代、20代や30代の人たちだ。特殊任務だということで、北朝鮮との間で何かあったのかと覚悟してヘリから投下されたら国会だった。それは当然ためらう。上官の命令に従っただけという抗弁は、もはや通じない」と述べた。
■右派も左派も尹大統領に「NO」今後は
野党はもちろん与党からも造反が出ることが確実視され、軍からも批判的な声が出る中、右派・左派で大きな分断が生まれている韓国においても、尹大統領を大統領の座から降ろすことに関しては一致していると、浅羽氏は繰り返す。「戒厳の発動が憲法に合致していると思っている人は本当にいない。この状況で尹を権力の座からいち早く排除せざるをえないという点では一致している。たとえ共に民主党に政権が変わろうともだ」と、一時的に同じ方向へと進むとの見解を語る。 目の前で起きている大混乱を収束させる方向に進むと見られるが、その後にはまだ分断が残る。「韓国では分断、分極化が深刻だ。自分がA党を支持していると、A党がやることなすこと全てに賛成する。一方、B党が提案していることには全部反対する。その政党のみならず、支持者に対しても、自分と違うだけで敵だとみなし、さらにはもう潰してしまえというところまで行く。尹大統領が弾劾訴追・罷免され、次の大統領に代わったとしても、分断、左右の対立、分極化は残る。これをいかに統合の方向に持っていけるか。さらに深刻化するのか。「民主主義の死に方」、いや生き延び方は、この点にかかっている」。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部