ホンダ、日産は工場閉鎖・三菱自は撤退…日系車メーカー、中国事業が転換期
日系自動車メーカーの中国事業が転換期を迎えている。現地メーカーの攻勢などによる販売不振で工場稼働率が低下する中、日系各社が構造改革に着手。ホンダは現地2工場の閉鎖・休止を決めたほか、日産自動車も一部工場を閉鎖した。三菱自動車は中国から撤退した。各社は生産能力の適正化で体質強化を進めるとともに、電動化への対応を急ぐ。 【一覧表】日系自動車メーカーの中国戦略 ホンダは中国国有大手の広州汽車集団との合弁企業である広汽ホンダ(広東省広州市)の第4工場を10月に閉鎖する。同工場は2005年4月稼働で年産能力は5万台。閉鎖し、生産機能を他工場に移管する。 東風汽車集団との合弁企業の東風ホンダ(湖北省武漢市)の第2工場も11月に休止する。12年7月に稼働した工場で、年産能力は24万台。生産設備を他工場に移す一方、建屋や生産機能は維持し、自動車部品の生産などで将来的に再活用する可能性を検討する。 現時点でホンダは中国2社で年149万台の生産能力を持つが、工場の再編に並行して人員体制も見直す。広汽ホンダは希望退職を募集したほか、東風ホンダは配置転換で対応する見通し。 2工場の閉鎖・休止は販売不振が続く中での体質強化の一環だ。市場の変化に合わせて電動化へのシフトを急ぐ。既存工場でガソリン車から電気自動車(EV)への生産車種の移行を進めるとともに中国2社でEV専用工場の年内稼働を計画している。それぞれ年産能力は12万台で、東風ホンダは9月めど、広汽ホンダは年末までの稼働を見込む。 調査会社のマークラインズによると、1―6月の中国新車販売台数は前年同期比6・1%増の1404万7000台。一方で、日系メーカーの販売台数は同14・7%減の145万9800台と低迷する。6月単月で比亜迪汽車(BYD)が前年同月比21・1%増、吉利汽車が同17・0%増と中国系は伸長したが、トヨタ自動車は同12・9%減、ホンダが同39・0%減、日産は同23・6%減と日系3社は2ケタ減だった。 ナカニシ自動車産業リサーチ(東京都港区)の中西孝樹代表アナリストは「(日系メーカーは)中国で現地企業と競える形を作っていかなければならない。それが中国だけでなく新興国のビジネスを守ることにもつながる」と指摘する。