相次ぐ「撮り鉄」トラブル、名誉挽回に心がけるべきマナーは? 危険行為は絶対やめて、あいさつと思いやりで良い思い出に 「鉄道なにコレ!?」【第46回】
鉄道写真を撮影する「撮り鉄」を巡るトラブルが相次いで報じられ、批判の声が出ている。マナーが悪い人はごく一部だが、撮り鉄というだけで十把一絡げに見なされることもあり、撮影を趣味とする鉄道ファンからは「肩身が狭い思いをしている」と嘆く声を耳にする。「紳士の趣味であるべき」(男性愛好家)との指摘もある鉄道撮影の名誉挽回には、どのようなマナーを心がけるべきなのか。(共同通信=大塚圭一郎) 筆者が本稿ではお伝えしきれなかった内容も含めて音声で解説しています。共同通信Podcast「きくリポ」を各種ポッドキャストアプリで検索いただくか、以下のリンクからお聞きください。 https://omny.fm/shows/news-2/28 【撮り鉄(とりてつ)】鉄道の車両や駅舎などの撮影を趣味としている鉄道愛好家や、撮る行為を指す言葉。列車に乗るのが好きな「乗り鉄(のりてつ)」と共に鉄道ファンの主要カテゴリーとなっている。鉄道の沿線には山や河川、田園風景、特徴的な建物などをバックに走っている列車を撮影できる場所が点在しており、このようなスポットには複数の撮り鉄が集まってカメラを構えていることも多い。一方、プラットホームといった駅構内で列車を撮ることは「駅撮り(えきどり)」と呼ばれている。
▽敷地内で撮影し緊急停車…過失往来危険罪などに問われる可能性も 2023年6月3日、栃木県矢板市内のJR東日本東北線の蒲須坂―片岡間で撮られた撮り鉄による迷惑行為の動画は、瞬く間にネットで拡散され、テレビのニュース番組でも報じられた。動画では、日本国有鉄道(国鉄、現JRグループ)時代の1968年に登場した電気機関車「EF81」がけん引するオール2階建て寝台車両「カシオペア」からけたたましい警笛が鳴り響いた後、列車が緊急停止。線路脇の敷地内でカメラを構えていた3人の男性は一目散に逃走した。団体旅行客を乗せたカシオペアは安全確認などのために約14分遅れた。 3人の行為は列車の往来に危険を生じさせたとして過失往来危険罪(第129条第2項、罰金30万円以下)に問われたり、鉄道敷地内に入ったことで鉄道営業法違反(科料1万円以下)に問われたりする可能性があるとの指摘も出ている。 現場は線路沿いに柵がなく、遮る建物もない田園風景のため列車全体を撮りやすいため愛好家の間で有名なスポットとなっていた。当日は線路から離れた場所に約50人の愛好家がカメラを構えていたとされ、遅れてやってきた3人は撮影者たちがファインダーに入らない場所を求めて敷地内に立ち入ったとみられる。