【ノースヒルズと日本ダービー】武豊キズナのメモリアルV「僕は帰ってきました!」 「人」と「馬」の〝絆〟が生んだ物語
今年は日本を代表するオーナーブリーダー「ノースヒルズ」の開場40周年となるメモリアルイヤー。競馬の祭典・日本ダービーが近づいてきたこともあり、ここでノースヒルズが生産した3頭のダービー馬にフォーカスした短期連載をスタートさせる。ホースマンの夢を3度も制覇する偉業は、3人の騎手、調教師の「願い」もかなえていた。第1回は2013年、キズナと“復活”の武豊――。
【ノースヒルズと日本ダービー/1】
「僕は帰ってきました!」 勝った武豊が大観衆のスタンドに向かって宣言した。事前に考えていたフレーズではない。「多くのファンの方から“おかえりなさい”と声をかけてもらって、自然とああいう言葉が出た」のだという。 2010年、毎日杯の落馬で大ケガを負って以降、勝ち鞍が落ち込んだ。苦しい時に支えてくれる人間こそが“真の恩人”というが、思った騎乗が見せられず、依頼も減る中、変わらず声をかけたオーナーの一人がノースヒルズの前田幸治氏だった。デビュー2戦で手綱を取った佐藤哲三がケガで乗れなくなった生産馬の逸材・キズナ(馬主は前田晋二氏)の鞍上を託された武豊は、ダービーに向け気持ちを奮い立たせた。「僕自身、苦しい時期だったし、そういう時にキズナに乗せてもらってすごく感謝しましたね。若いころからずっと応援してもらっていたし、その気持ちに応えたかった」 この年の勝利で、最前線に返り咲きたいという願いをかなえた武豊。ノースヒルズにとっては悲願のダービー初制覇だった。武豊が乗ってノースヒルズの初GⅠ勝利となったファレノプシス(1998年桜花賞)の弟でのメモリアルVに「同じ血が流れた馬でダービーを勝ったというのも感慨深かったですね」(武豊)。「人」と「馬」の“絆”が生んだダービーだった。
東スポ競馬編集部
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