待っている人のために… 商店街の一角に構える子ども食堂「わ・和・輪の会」代表の両角さん 子育て世帯や高齢者へ弁当作り続ける 週3回、人工透析に病院へ通うも「自分が人に恵まれてきたから、恩返しね」
埼玉県朝霞市本町の商店街の一角に構える小さな子ども食堂「わ・和・輪の会」。子育て世帯や高齢者向けに低額で弁当を販売する。代表の両角(もろずみ)小夜子さん(76)は12月25日、午後1時過ぎからキッチンに立った。ボランティアスタッフと2人で次々と弁当を詰めながら、利用者とのコミュニケーションも欠かさない。「昨日のピラフどうだった?」「うまかったよ!」 埼玉、3年間で2倍に増加 子ども食堂、県内478カ所に 認知拡大、企業や業者が開催するケースも
60代男性は「1人暮らしで、ナスやレンコンは調理しない。うれしいね」。別の男性は「健康的なメニューでありがたい」と笑顔だ。弁当が完売すると、近くの公民館で学習支援に通う子どものためにおにぎりを握る。この日はクリスマス特別メニューでチキンやフルーツポンチも用意した。料理を受け取った学習支援の支援員は、「こんなにたくさん?いつもありがとうございます」と驚きの表情だった。 食堂は2016年7月、子どもの居場所づくりのために立ち上げた。食堂内で食事ができるようにしていたが、コロナ禍を期に弁当に切り替えた。丼メニューの日は250円、品数が多い日は300円で午後5時20分から販売。ランチも予約制で受け付ける。 「自分が人に恵まれてきたから、恩返しね」。今年3月からは人工透析のため週3日病院に通う両角さん。それでも「待っている人がいるから」と食事を作り続ける。「本当に困っている人に、どれだけ届いているかは分からない。でも、『ありがとう』をもらえるのが、逆にありがたい。活動は小さいけれど、朝霞の困っている人に届けば」と願っている。