日銀は国債買い入れ額を据え置き、前回の減額は円安対応との見方
(ブルームバーグ): 日本銀行は定例の国債買い入れオペの金額を据え置いた。前回のオペでは金利に上昇圧力がかかる中で予想外の減額に動いたが、為替市場で円安の進行が一服する中、連続での減額が見送られた。
日銀は17日午前の金融調節で、残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、25年超の買い入れ額を据え置いた。前回13日のオペでは5年超10年以下を500億円減らした。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、前回の減額は為替対応だったという見方が強まると指摘する。長期金利が0.9%台と比較的に高い水準で推移し、今回は減額が必要ない状況の中で「為替相場が落ち着いてきたので据え置いたという見方が妥当だ」と述べた。
日銀のオペ据え置きを受けて、債券市場では長期国債先物6月物が下げ幅を縮小。外国為替市場の円相場は一時1ドル=155円台後半と、オペ発表前の155円台半ばから下落している。
一方、SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは、日銀は今回の減額見送りで円安に振れても仕方ないとの判断だったのではないかとみる。2回連続の減額は日銀の国債買い入れ縮小に対する市場の関心を一段と高めるが、「日銀が本丸としているのは利上げなので、減額ばかりに関心が集まると利上げしづらくなる」との見方を示す。
6月会合
3月の金融政策決定会合で大規模緩和策を大幅に見直した後、日銀は市場の落ち着きを見極めた上で買い入れ減額を開始した。4月の決定会合の主な意見では「どこかで削減の方向性を示すのが良い」など買い入れ縮小に前向きな意見が多く示されており、6月会合では買い入れ減額の方針が決定されるとの観測が強まっている。
SBI証券の道家氏は、「日銀は追加利上げに向けた地ならしを始める」と予想しており、「6月は国債買い入れ減額で、利上げは秋以降という見方に市場が傾くのは避けたいのだろう」との見方を示す。