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　クラブなどで午前0時を過ぎてもダンス営業ができるようになった改正風俗営業法(風営法)が2016年6月23日に施行され、今年で8年が経った。業界で大きな節目の日となった「６・23」を前に、当事者であり、現在は「いじめ撲滅」の運動を進めている「一般社団法人Ｈｏｍｉｅ子ども未来育成会」代表理事の井上ケイ氏と日本を代表するヒップホップ・アクティビストのＺｅｅｂｒａが当時の状況を振り返り、教育現場にも通じる部分を指摘した。 【写真】学校での「いじめ撲滅」運動を推進する井上ケイ氏とZeebra 　風営法では客に踊りや飲食を提供するクラブの営業は原則的に午前0時までと規定されていた。同法の制定は終戦から3年後の1948年。「風紀上の問題」から「ダンスをさせる店は風俗営業」として取り締まりの対象となっていた。 　Ｚｅｅｂｒａは「元々、ＧＨQが作ったルール。日本占領時代のダンスホールで、日本人の女性の方たち(※売春婦)がアメリカの軍人相手に〝仕事〟をしていた。それがGHQ的にも問題だとなって、『営業はせめて深夜0時までに』というのがルールの始まりです。ところが、全く状況が変わった時代になっても、ずっとそのルールが残っていた。『それはおかしいよね』というのがあって、根本的なところで、そのシステムを変えていこうという運動が起こりました」と経緯を説明した。 　改正前の実態について、現場の経験者として両者は語る。 　ケイ氏は「うちの店でクラブイベントをやった時、スーツを着ているお客さんが多い日があって、店長も『なんか、おかしいな』と言ってたんですけど、深夜０時３分に、(私服刑事から)『はい、そこまで』と言われた。０時を過ぎてＤＪが流した音楽に、一番前のお客さんが足踏みをしたんですね、それで〝ダンス〟とみなされて摘発の対象になる。罰金は店長が150万円、マネジャーが50万円、店の罰金は250万円で営業停止３カ月…。つぶれちゃいますよ」と証言した。 　Ｚｅｅｂｒａは「当時、東京のクラブでは(警察の)お目こぼしみたいな感じで何とかやらせてもらっていた感じでした。年末のスピード違反と同じで、おまわりさんも点数が欲しいときに、来るわけですよ、2011年くらいに大阪のアメリカ村エリアのお店がいっぱい止められちゃって、『これ、やばいぞ』ってことで、最初は大阪から署名運動が始まった。関東でもＤＪたちが集まって、その年から5年間、合法化運動を続けた。国会議員の先生とも会って超党派の動きを作ったりして、16年にクラブでの深夜営業が合法化になりました」と振り返った。 　では、「いじめ」問題との共通点とは。 　Ｚｅｅｂｒａは「クラブでの改正法前後の何が大きな違いかというと、改正前は、クラブの中でケンカがあって、それを警察に通報すると、『なんで深夜にクラブが営業しているんですか』という問題になるので、クラブ側も警察に通報できず、犯罪の温床になるという悪いサイクルがあった。今は深夜営業が合法なので、何か問題が起きたらすぐ警察に連絡できる。これって、いじめ(と学校の関係)の問題にも通じると思います」と指摘する。 　ケイ氏は「去年、文科省が『いじめがひどい時は警察に報告するように』という通知を出しましたが、実際に問題が起きても学校は通報しない。それが学校の〝汚点〟になると考えるからです。それで、さらに悪い方向に行く。いじめている方の子は『どうせ報告なんかされないから、やっちゃえ』とエスカレートしていく。きちんと報告して警察が学校に介入すれば、ひどいいじめはなくなる…ということで決められたことなのに、学校も教育委員会もやらない。この辺をもっと徹底しないとダメだと思いますね」と付け加えた。 　両者の思いを起点に、第一線で活躍するラッパーやＤＪらが集結し、いじめ撲滅チャリティーソング「Ｎｏ　Ｂｕｌｌｙ」をリリースし、ライブも計画中。ケイ氏は自身の信条をつづった書籍「昭和に生まれた侠の懺悔～第２章　いじめ撲滅編」（東京キララ社）を５月に出版した。 　Ｚｅｅｂｒａは「いじめは『汚点』ではなく、『学校でいじめがあるのは当たり前』という大前提で対応すべき。風営法改正で『クラブで踊る』ことが前提になったから、警察を呼ぶこともできるようになったわけです」と説き、ケイ氏も「いじめがない学校なんてないですからね」と強調した。　 （デイリースポーツ/よろず～ニュース・北村 泰介）