【陸上】1500mでもパリ切符の田中希実 「壁」の苦悩から1カ月…「自分の限界を知りたい」圧巻5連覇
◇陸上・日本選手権第2日(2024年6月28日 新潟・デンカビッグスワンスタジアム) 【写真】<陸上日本選手権第2日>女子1500メートル決勝、スタートする選手たち(撮影・小海途 良幹) パリ五輪の代表選考会を兼ねて行われ、女子1500メートルで東京五輪8位入賞の田中希実(ニューバランス)が、4分1秒44で貫禄の5連覇を達成した。同種目の5連覇は、06~10年の吉川美香以来、史上2人目で最長タイ。パリ五輪の参加標準記録4分2秒50もクリアし、5000メートルに続いて2種目目の代表をつかんだ。 日本選手でただ1人、ペースメーカーにつく展開。ハイペースでも最後まで足取りは衰えない。2位の井出彩乃(資生堂)に9秒59差をつける異次元のレースだった。 「まだ自分の中での会心の走りではなかったかなという思いもありつつ、最低限、今やるべきことだったり、自分の中の一歩を踏み出すための地固めができたかなという部分があります。今日も目標を決めるよりは、とにかく自分の限界を知りたいという走りができた。そういった走りをパリ五輪でもしたい」 5月19日のセイコー・ゴールデンGPは4分7秒39と不完全燃焼。「つかみどころのない壁に当たっている」と苦しみながら、6月2日のダイヤモンドリーグ第7戦ストックホルム大会で4分2秒98をマークした。わずかに参加標準には届かなかったが、東京五輪後ではベストのタイムだった。1週間前のダイヤモンドリーグ第5戦ユージン大会で5000メートルのパリ切符を手にしたことが、良い流れを生み出した。 今大会を前にケニアでの合宿も敢行。開幕前日の会見では「今までで一番、練習の消化率が良かった手応えはある」と口にした。 「今まではマラソン組のトラック練習であっても、スピードを落としてボリュームの多い、ロード練習の多いイメージだった。今回は、U20の世界大会に出て行くジュニアの子たちの練習に混ぜてもらって、よりスピードというところで。フレッシュな気持ちを持って、普段の練習からバチバチやる感覚を取り戻せた」 心身ともに良い状態で日本選手権に臨み、まず最初の1500メートルで結果を残した。残る800メートルと5000メートルでも、圧巻のレースを披露する。 【田中の日本選手権】 29日=800メートル予選(午後3時25分) 5000メートル決勝(午後5時55分) 30日=800メートル決勝(午後4時55分)