睡眠の質を向上させる「寝る前のとある行動」。ポイントは“手書き”、慶應大の研究で明らかに
寝付きがよくなかったり、眠りが浅かったりと、睡眠にまつわる悩みを抱える人は少なくない。 【全画像をみる】睡眠の質を向上させる「寝る前のとある行動」。ポイントは“手書き”、慶應大の研究で明らかに そんな人にこそ知ってほしい、寝る前の「ある行動」にまつわる実験結果を紹介しよう。
手書きで日記をつけると睡眠の質が向上
ジェットストリームなどでおなじみの三菱鉛筆は、手書きで日記をつけることが睡眠の質へどう影響するかを調べる実験を行った。 脳神経メカニズムや睡眠・うつ病などを研究する慶應義塾大学理工学部の満倉靖恵教授との共同で実施した。 その結果、手書きで日記をつけることで睡眠時間全体に占める「深睡眠」の割合が高くなることが判明したという。
手書きが深い眠りをもたらす
実験は3カ月間にわたって実施。 3カ月間を1)最初の2週間と最後の2週間、2)4週間、3)4週間の3つに分け、1)は何もしない、2)はアプリ(デジタルツール)で日記を書く、3)は手書きで日記を書くとして、それぞれを比較した。 睡眠の質は、睡眠中の心拍データをもとに判断する。 睡眠段階診断の国際基準であるR&K法に基づき、5段階(WK:覚醒、REM:レム睡眠、N1:浅睡眠、N2:中等度の睡眠、N3:深睡眠)に分類して評価した。 実験の結果、N3の割合が最も高かったのが、3)手書きで日記を書く(29%)だったという。同じ日記でも、デジタルツールを使うよりも手書きのほうがN3の割合が多いのも興味深い。 文字を手書きすることは、自律神経を整える効果があると言われているそう。ひいてはそれが、良質な睡眠をもたらしているのだと考えられる。 N3はノンレム睡眠の中でも最も深い眠りで、脳の活動を休養させるなど疲労回復に役立っている。 認知機能にも影響が大きい。ノンレム睡眠は、アルツハイマー型認知症の発症に関与するとされているアミロイドβなどの老廃物を排出する働きもある。 近年あらゆる面でデジタル化が進む中、「手で書くこと」のメリットが見直され始めている。日記なら誰でも気軽に取り組めて、負担も少ないだろう。 「最近よく眠れない……」と感じているならば、寝る前の手書き日記の習慣を新たに始めてみるのもいいかもしれない。
羽石友香