金沢学院大附敗退 2回戦、帝京に0―5 全国高校サッカー
第103回全国高校サッカー選手権(31日・川崎市のUvanceとどろきスタジアムby Fujitsu)初出場の金沢学院大附は2回戦で帝京(東京B)と対戦し、0―5で敗れた。前半に2失点すると、後半も相手の攻撃を止められず立て続けに点を奪われた。夢の舞台で戦った選手たちは涙に暮れ、スタンドからは大きな拍手が送られた。 【写真】攻め上がる金沢学院大附の選手 金沢学院大附は前半7分、自陣でボールを奪われると相手MFに強烈なミドルシュートを決められ、先制された。同19分にはペナルティーエリア内で相手FWに倒れ込みながらシュートを打たれ、さらに失点した。 金沢学院大附は相手の守備に苦戦してなかなか攻め込めず、点差を詰められないまま、後半も追加点を許した。 ●石川のため、最後まで 初の選手権に挑んだ金沢学院大附の戦いは2回戦で幕を閉じた。持ち味のパスサッカーを武器に県大会を勝ち抜き、目標の「全国1勝」を遂げたものの、最後は全国の壁の高さを痛感させられた。能登半島地震から1年。石川県代表として最後まで走り抜いたピッチは、被災地に勇気を届ける舞台でもあった。 前半、高いディフェンスラインを引いた帝京の激しいプレスに苦しめられ、2失点を喫した。山下聖真主将(3年)が「圧倒されて、消極的になってしまった」と振り返るように、ボールを奪われる場面やパスミスが多かった。 相手の圧力に徐々に慣れてくると、後半はチャンスをつくった。小林和哉(3年)が放ったシュートがポストをたたき、家邉凛太朗(2年)がポストをかすめるシュートを打つなど惜しい場面も見られたがゴールを割れなかった。 北一真監督は「なんとか1点取りたかった。逆に決めきられたっていうのは力の差だと痛感した」と語り、決定力の違いが結果に表れた。 山下は「3年間やりきった。まだまだ全国で勝ち抜くには実力が足りない。後輩たちには、また学院のサッカーの歴史をつくっていってほしい」と期待した。 この日もスタンドに「がんばろう能登」「頑張ろう石川」の横断幕を掲げて戦った。1万172人が観戦し、試合後、ベンチに引き揚げる選手たちに学校関係者のみならず、会場から惜しみない拍手が沸き起こった。 北監督は被災地の代表校として注目度は高かったとし、「最後まで諦めない姿勢が地元に届いていればうれしい」と話した。かほく市出身の油野瑛斗(3年)は「大敗して申し訳ない気持ちはあるけど、みんな石川県のために最後まで走って戦ったと思うので、そこは胸を張って帰りたい」とやりきった表情だった。 ●北監督リベンジならず 選手時代も対戦 北監督にとって帝京は、星稜高時代に選手として出場した時に敗れた因縁の相手だった。選手に勝利の思いを託したが「完敗だった」と力の差を認めた。 1998年の第76回大会の2回戦で、GKの北監督が出場した星稜は帝京に0―2で敗れている。北監督は今大会1回戦の後、「選手たちにはリベンジしてもらいたい」と話していた。 「この3年間積み上げてきたものを、もっといい形にして強いチームをつくっていきたい」と語り、再び全国の舞台に戻ってくる決意を示した。 ●600人スタンドから声援 スタンドではチームメートや保護者、吹奏楽部、チアリーディング部の生徒ら約600人が声援を送り、選手の奮闘をたたえた。 サッカー部の保護者会長で、山下聖真主将の父学さん(51)は「よくやってくれた。本当に頑張った」と語った。油野瑛斗選手の祖父である油野和一郎かほく市長は「金沢学院大附の新たなページを開いたと思う。能登半島地震の被災者の皆さんにも頑張っている姿を届けられた」と話した。 岡山拓未選手の母真理さん(55)は「1、2回戦とも自分たちのプレーをしていた。ここまで連れてきてもらって感謝しかない」とねぎらった。