こんなはずでは…〈退職金5,000万円・年金月25万円〉68歳元大企業部長、定年後にもうひと花咲かせるはずが「もう俺はマウンドを降りたんだ」と撃沈【FPが解説】
4,000万円以上の「隠れ負債」が発覚
東さんが購入したホテルは、前社長の時代から労務管理の体制がずさんで、前社長も昭和気質のワンマン経営者。地元の人からは「ブラック企業」といわれていました。社員やパート従業員の時間外手当が正確に計算されておらず、有給休暇も適正に与えていなかったのです。さらに清掃を担当するパート従業員に対し、社会保険を適用しなければならないはずの人に社会保険が適用されておらず、それが年金事務所の調査により発覚してしまったのでした。 さらに、東さん就任と同時に辞めた社員達が過去に離職した社員たちとともに未払い分の残業代を請求してきたのでした。社会保険料の追徴分と未払い分の賃金の支払いで、4,000万円を超える金額の支払いが必要に。 「こんなはずでは……」焦った東さんが顧問の社会保険労務士に話を聞くと、社会保険労務士が度々指摘をしていたにも関わらず前社長は対応する気がなく、この状況を放置していたことが判明します。 支払わなければならない金額なのはわかりましたが、会社の現預金では支払うことがかなり難しい金額です。すでにホテルのリノベーションのために多額の借り入れを行っており、銀行からも融資を受けることが難しい状況。 資金繰りに奔走してなんとか資金をかき集めて支払うことができた東さんでしたが、自分の役員報酬は0円にすることで支出を食い止め、公的年金月25万円のみ、もともと年収も高かったため高額な住民税の負担も重くのしかかっています。こうして、理想のセカンドライフは隠れ負債の発覚によって打ち砕かれ、資金繰りの悩みを抱えながら、節約生活を送ることに。 ある日、鏡を見ると自分の姿に驚きます。東さんは定年前、女性社員や夜のお店の女性たちに「60代にはとても見えない!」「イケオジだよね!」と噂されることを誇らしく思っていました。しかし、いまの姿はどうでしょう。後頭部にできたいくつもの円形脱毛症から髪は薄くなり、定期的にジムへ通えなくなったために筋肉質だった身体は弛み、頬はこけてげっそりとしています。 「もう俺はマウンドを降ろされたんだ」と呟きました。
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