サブウェイ「おいしいけど足が向かない」納得の理由、ワタミ傘下での“リベンジ”シナリオとは
「『居酒屋大手のワタミ』という代名詞から『サブウェイのワタミ』という代名詞に変えたい」。10月25日に行われた会見で、ワタミの渡邉美樹会長兼社長はここまで言い切った。サブウェイの日本事業者をワタミが完全子会社化することで、「ヘルシーでバラエティ豊富なサンドイッチ」のブランドイメージはどう変わるのか。どちらかと言えば日本で人気が今ひとつのサブウェイは、店舗数をどこまで伸ばすことができるのか。(フリーライター 鎌田和歌) ● ワタミがサブウェイを子会社化 ヘルシーなイメージを守れるのか 居酒屋チェーンのワタミが、サブウェイの日本法人を完全子会社化すると発表したのは10月25日。緑と黄色のサブウェイのロゴと、ワタミの赤いロゴの前で、渡邉美樹会長兼社長は「『居酒屋大手のワタミ』という代名詞から『サブウェイのワタミ』という代名詞に変えたい」と話し、現在国内に178店舗あるサブウェイを20年かけて3000店舗まで増やす目標を掲げた。 このニュースに対するネット上の反応を見ると、「あの値段で野菜をおいしく摂取できるファーストフードが店舗数を増やすのはうれしい」「大規模展開してほしい」など店舗数増を期待する好意的なコメントがある一方、過労死問題が報道されてきたワタミのイメージから労働環境を心配する否定寄りの声も見られ、期待と不安が混在する状況だ。大手居酒屋チェーンと組むことで店舗数の拡大は予想されるが、サブウェイのヘルシーなイメージを守り切ることができるのかが課題だ。 子会社化発表の記者会見で、渡邉社長は少子化などによるアルコール需要の低下に触れ、「ワタミの宅食は高齢者向け。若者に人気のブランドにもう1回戻そうじゃないか」とも述べたと伝えられている。ワタミとしても、これまでの路線を変更し、若者をターゲット層に据えてイメージを刷新したい目論見があるのだろう。
● 最盛期480店舗から激減 サブウェイの再起はあり得るのか サブウェイはアメリカではマクドナルドと並ぶ店舗数を誇り、全世界での店舗数は2018年頃までマクドナルドよりも多かった。しかし日本での人気はといえば、熱烈な支持者はいるとはいえ、今ひとつという印象だ。国内で最も店舗数が多かったのは2014年で約480店舗。ここからの10年で、300店舗以上減少している。2018年には、1991年の国内展開開始以降、経営を行っていたサントリーホールディングスが撤退している。 サブウェイとしても、これ以上の店舗減に歯止めをかけたい意図があったことは想像に難くない。ここからは消費者目線で、サブウェイが日本で伸び悩んだ理由と、今後の展開における予想をしたい。 ● 「冷たい」サンドイッチへの 日本人消費者の冷めた目線 これは以前から言われていることだが、サンドイッチの質感自体が、そもそも日本人好みではない。日本人の愛するおにぎりからもわかるとおり、日本では温かくしっとりしている食べ物が好まれやすく、冷たくてパサパサしたサンドイッチはそもそも分が悪い。 パン屋で人気のサンドイッチは、食パンの耳を切り落とした形状のものが多く、これは比較的しっとり感があるのだが、サブウェイのようなやや固めのパンを使ったサンドイッチは、若干のハードルがある。しかしパンを柔らかめにしてしまうと、今度は野菜やソースの水分でパン生地がふやけてしまい、食べ応えが良くない。ここに難しさがある。 もちろん、サブウェイではパンを温めるサービスもあるのだが、人々の頭の中に何となくある「冷たい」「固い」「パサパサ」というイメージは強固である。 ● 競合店にはない強み 野菜の存在感をもう一度 この日本人にとってマイナスにはなれどプラスにはなりづらい「冷たい」イメージを乗り越えるためには、やはり野菜の存在感を打ち出すことが必要だろう。「冷たい」ではなく、「冷たいけれど、野菜が食べられるからアリ」の人を獲得していくのである。サブウェイのブランドイメージである「野菜をおいしく食べられる」は、日本国内のファーストフード店では他にフレッシュネスバーガーぐらいだ。