ADHD理解不足が招く二次障害の危険性。「ADHDの子はいじめられやすい」データも…【自尊感情を測るチェックリスト付】
困った行動はなぜ? 誰に相談する? 治療すればよくなる? この先どうなる? イラスト図解で基礎からわかるADHD入門書『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』より、連載形式でADHDの「今」をご紹介します。 「子どもがADHDかもしれない」と思ったら…? 今回はADHDの理解不足が招く、二次障害の危険性について解説します。 【前編】「子どもがADHDかもしれない」と思ったら…? 身近な相談先や就学までの必須項目や流れをチェック!
理解不足がさらなる障害を招くことも
わざとではないのに、親や教師に叱られ続けていたら、子どもの心は一体どうなるでしょうか。理解不足による二次障害は思春期以降に起こりやすいことがわかっています。 ADHDの特性から起こる行動の多くは“問題行動”とみなされがちです。 親や教師などが発達障害を十分に理解していなければ、「何度言ったらわかるんだ!」などと叱責され、そうした日常がくり返されます。特性ゆえの行動は、仲間外れやいじめの対象になることも多く、不登校や退学に至ることも少なくありません。 こうした状況が積み重なると、ADHDの子どもの心は次第に疲弊し、自尊心が傷つけられます。 大人や社会に対するいらだちや嫌悪感も募ってきます。 このような不適切な対応に起因する心理状態が、「二次障害」につながるのではないかと考えられています。その代表が「反抗挑戦性障害(ODD)」です。ODDからさらに「行為障害」や「不安障害」「うつ」などを発症することもあります。 ■二次障害へつながるADHDのマーチ ADHDへの対応が適切でないと、反抗挑戦性障害や不安障害などに移行する可能性が高くなります。二次障害の発症には、親の心理状態の影響も示唆されています。 ■引き起こされやすい二次障害 ADHDに対する理解不足が原因で、二次的に起こりやすい障害には、以下のようなものがあります。 (1)反抗挑戦性障害(ODD) 著しく反抗的・挑発的な態度を常に示す状態。イライラしがちで怒りっぽく、かんしゃくを起こす。大人の指示や要求に過剰に反抗し、口ごたえや拒否、無視をする、わざと怒らせるなどの行動をとる (2)行為障害(CD) 反抗挑戦性障害がさらにエスカレートして生じるもの。社会や大人に対する反抗的態度が著しくなり、暴力をふるう、物を壊す、ひったくり・ゆすりをする、万引きをするなど、反社会的行動が続く状態 (3)不安障害 危険を察知して「不安」を感じる、脳のシステムが過剰に働いてしまうもの。過度な不安から動悸、冷や汗、不眠などが起こり、日常生活に支障が出る。社会不安障害やパニック障害などの種類がある (4)うつ 気分がひどく落ちこみ、興味や関心、意欲が著しく低下する。全身倦怠感、不眠、便秘、食欲低下などの身体症状も現れる。子どもでは無力感やイライラ、落ち着きがないなどの症状が目立ちやすい