「頼み事引き受けて後悔しがちな人」意外な解決法 「先のことだからいっか」の罠を逆手に取る方法
5カ月半の間にはさまざまなことが起こった。13年落ちのミントグリーン色の日産車を買う羽目になったり(「乗ってみたら、おもちゃの車を運転するG.I.ジョーみたいだった」とは本人の弁)、スクラッチの宝くじで2万5000ポンド当てたりと思ったら削りすぎて無効。詐欺メールにも素直に対応してしまうなど……。 ここまで読んで思い当たる方もいるだろう。ジム・キャリー主演の映画『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(バジリコ)の原作はダニーの回想録だ。
あまり知られていないのだが、心理学者は自身の研究結果におもしろい名前をつけることがある。イェール大学でマーケティング学を教えるギャル・ザウバーマン教授とコロラド大学ボルダー校のジョン・リンチ教授は「イエス」と答えたものの悔いる傾向を「イエス→しまった! 案件(Yes/Damn Effect)」と名づけた。ぴったりのネーミングだ。 「イエス」と引き受けておきながら「しまった!」と後悔する経験は、誰でも覚えがあるだろう。「ノー」を選択肢から排除したせいで、あらゆる状況下で「イエス」と答え続けることになり、その結果クレジットカードの負債を抱えたり、バーで殴られそうになったり、抗うつ剤や育毛剤の処方せんなど、必要のないものを購入する羽目になる。
とはいえ、「イエス→しまった! 案件」は、必ずしもそうした直接的な(あるいは愚かな)結果をもたらすわけではない。 最近あなたが受けた頼まれごとは何だっただろうか。職場でプレゼンをするとか、子どものサッカーチームのコーチをするとか、つき合いの浅い友人の誕生日パーティーに行くとか、さまざまな約束があるだろう。 ■細かな用事が及ぼす影響は予測できない スケジュールが真っ白なので、それなら大丈夫だろうと思い「イエス」と答える。しかし予定が近づいてくるにつれ、あまり時間がないことに気がつく。頼まれごとよりも、自分の用事をこなしたいと思うようになる。それが「イエス→しまった! 案件」だ。