なぜ日本フィギュアがNHK杯男女シングルSPトップ3を独占できたのか。異例の快挙を紐解くキーワードは“一体感”
男子は鍵山優真、女子は坂本花織がトップ
日本勢が勢いあるスタートを切った。 11月8日、フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯は国立代々木競技場第一体育館で行なわれ、女子ショートは世界女王の坂本花織が今季世界最高得点となる78.93点をマーク。2位には千葉百音(71.69点)、さらに青木祐奈がともに自己ベストを更新する69.78点で3位に入り、トップ3を日本勢が独占した。加えて、男子シングルのショートでも鍵山優真が今季ベストとなる105.70点を叩き出して首位に立つと、三浦佳生と壷井達也も好演技で続き、日本勢が1~3位を独占する異例の結果で折り返した。 【画像】NHK杯SP首位発進した“りくりゅう”の演技を厳選フォトでお届け! まだショート終了時点とはいえ、男女シングルで日の丸がトップ3を独占。まさに異例な光景だった。 まず先に行なわれた男子シングルで21歳の壷井が好スタートを切った。冒頭の4回転サルコウを綺麗に降りると、以降もすべてのジャンプを着氷。演技を終えると、渾身のガッツポーズで喜びを爆発させた。昨年のNHK杯ショートは最下位という最悪のスタートだっただけに、今年はリベンジに成功した。「いま自分ができることは全部出し切れた。去年のショート(12位)があったので、本当に怖かった」と本音を漏らし、ガッツポーズは「打ち勝てた喜び」とはにかんだ。 そして、全体10番目に登場した鍵山は完璧な演技を見せる。最初の4回転サルコウを鮮やかに着氷すると、続く4回転トウループ+3回転トウループの連続ジャンプも成功。トリプルアクセルをきっちり決めると、優雅に流れるような滑りでスピン、ステップは最高評価のレベル4を獲得。のちに本人も「演技自体はいいもの」と振り返ったように、まさに文句なしのパーフェクトで、演技後は両拳で笑顔のガッツポーズ。観客のスタンディングオベーションにはピースサインで応えた。注目の得点は今季世界2位を叩き出す高得点だった。 最終滑走の三浦は大きなプレッシャーがかかるなか、冒頭の4回転サルコウ+3回転トウループの連続ジャンプを完璧に決めて勢いに乗った。スピードある滑走からトリプルアクセル、後半の4回転トウループも降りてフィニッシュすると、右手でガッツポーズが飛び出した。「ちょっとまだ興奮が残っていて、消化できていない」と興奮気味に話すと、「練習から調子が良くなくて、その中で集中してやるのが試された。練習から本番に切り替えられたのが一番良かった」と振り返った。