なぜ日本フィギュアがNHK杯男女シングルSPトップ3を独占できたのか。異例の快挙を紐解くキーワードは“一体感”
日本女子に好影響「自分を奮い立たせてくれた」
記念撮影では3人でガッツポーズをとりながら、笑顔溢れる和やかな雰囲気だった。日本人が現時点でトップ3を独占したことを質問されると、鍵山は「それぞれやるべきことをすべて出しきった結果だと思う。最初にたっちゃん(壷井)からいい流れを作ってくれて僕たちもパワーをもらったので、それは本当に良かったと思います。三浦選手からも『流れ作ってよ』って言われたので、僕も頑張ろうと思いました(笑い)」と出番直前でのやり取りを明かした。「明日に関しても今日と一緒で、みんなが最初から最後まで100パーセントを尽くしたい」と切磋琢磨を誓った。 一方の三浦は「彼(鍵山)は当たり前のように存在すると思うので、いったん置いておいて」と前置きし、「しっかり油断をせず、明日は明日、今日は今日でいったん忘れて、明日のフリーにまたいちから集中し直してベストパフォーマンスができるようになっていきたい」と気を引き締め直した。壷井は「2人はショートの貯金があるので(笑い)日本人独占の鍵は僕にかかっているなという気持ちがすごくあるので、フリーはまた別の試合が始まると思って、いちから集中して自分ができることを頑張っていきたい」と話した。 日本男子の勢いは、実は女子に大きな勇気を与えていた。2番滑走の青木はショート『アディオス・ノニーノ』を華麗に演じ切り技術点36.89、演技構成点32.89点の合計69.78点をマーク。得点を確認すると、自身も驚きのリアクションを見せるほど会心の演技だった。 青木は試合後、「(SP10位だった)スケートアメリカのリベンジができた」と笑顔で振り返ると、日本男子のパフォーマンスに感銘を受けたことを明かした。 「バスの中で壷井選手の演技を見て、去年悔しい思いをしているのを知っていたので、自分も嬉しい気持ちになりました。そのあと会場に着いて、鍵山選手を映像で見て『さすがだな』という気持ちと、会場の雰囲気も絶対に見たかったので、三浦選手の演技は実際に会場から上で見たんですけど、歓声だったり拍手だったり、これから自分も味わえるんだなと思って、自分を奮い立たせてくれた感じでした」 昨季はシニア1年目ながら年末の全日本選手権で2位、さらに四大陸選手権で初優勝を果たすなど、大きく飛躍を遂げた19歳の千葉は可憐なピンクの衣装を身にまとい登場した。滑らかでしなやかなステップを見せ、ジャンプはすべて成功。伸び伸びとした演技で、こちらも自己ベストを更新する71.69点でキスクラでは笑顔が弾けた。同選手も男子の結果には大いに刺激を受け、「ジャッジスコアを見て、みんなすごいいい感じだなと思った。会場の雰囲気もいい演技ができる雰囲気になっているに違いないと信じて、6分間練習に踏み込みました」と話し、大きなエールになったと答えた。