部下を褒めるのはNG? 慕われる上司ほど守っている「フィードバックの鉄則」
・フィードバックは、「褒めない」が重要 「フィードバックの際には、メンバーを褒めよう」と書いてあるビジネス書がたくさんあります。しかし私は、笑顔で、ポジティブな言葉を使ってフィードバックを行うと考えていて、「褒める」という感覚はありません。 あなたは「褒める」という言葉から、どのような印象を受けるでしょうか。 「褒める」とは、国語辞典で調べてみると、もともと自分と同等か目下の人に対して使う言葉です。そのため、上の立場から下の立場の人に向かって「相手を評価する」というニュアンスが含まれます。それは、リーダーとメンバーがフラットな関係でコミュニケーションを取ることを目指している私には、合わないと考えています。 もう一つ、「褒める」という感覚を持たない理由があります。誰かを一度褒めると、その相手は次から「もっともっと褒めてほしい」という気持ちを持つものです。そしてその気持ちは、回を重ねるごとにエスカレートし、褒められなかった場合に不満を持つようになってしまいます。 しかし、メンバー一人ひとりに褒めてほしい人の褒めてほしいタイミングで褒め続けることはできません。ですから、褒めるのではなく、あくまでポジティブフィードバックを行います。 ポジティブフィードバックは、アイメッセージになるように言葉を丁寧に選びます。アイメッセージとは、「I=私は︙と思う・考える」という形で、自分の意見を伝える会話の手法を指します。 つまり、アイメッセージになるように慎重に言葉を選ぶとは、たとえば「こういう成果が出たのは、あなたが努力したからだと(私は)思います」「あなたが頑張ったから、他のメンバーにもそれが響いて、協力してくれたと(私は)感じています」という表現を使うことです。このように自分自身が思ったこと、感じたことを丁寧にメンバーに伝えるようにしています。 「アイメッセージ」を意識することで、リーダーとメンバーの関係は、上下の関係ではなく、フラットな横並びの関係になるというメリットがあります。リーダーは、メンバーと対等な目線で、自分の思ったことをきちんと伝えるのがいいと私は考えています。 メンバーがプレゼンテーションの練習を行う場面でも、同様です。プレゼンテーションが終わったタイミングで、他のメンバーがフィードバックを行う時間を作る際には、皆にこのように声をかけます。「皆で、○○さんに、ポジティブフィードバックをしましょう」。 それは、「○○さんのプレゼンテーションで良かったところを、皆挙げてくださいね」という意味です。また、もし何かを指摘する場合は、「○○がちょっと気になるかな」といった言い回しをします。他のメンバーにコメントを求めるときも「気になる点があれば教えてください」と伝えます。 メンバー一人ひとりに、その人の良いところを伝えるのはとても大切です。良いところがわかれば、その人のモチベーションが高まるからです。メンバーに対しては、ポジティブフィードバックを心がけるようにしましょう。 人のできていないところ、悪いところは目につきやすく、ダメ出ししたくなる気持ちはわかります。もちろん指摘することも大事です。しかし繰り返しになりますが、それ以上に人の良いところに着目し、ポジティブフィードバックをしてあげてほしいです。
園部浩司(人材育成・組織風土改革コンサルタント)