持続可能な観光にも貢献し得るサーキュラーエコノミーとは? 九州電力らが「サーキュラーパーク九州」を稼働開始、目指す未来と提言を聞いてきた
「2割が変われば社会が大きく動く」
近年、環境に配慮した商品も増えているが、環境というキーワードが必ずしも消費者の購買行動につながるとは限らない。その点について中台氏はこう話す。 「2割の人の意識や行動が変われば世の中は変わります。業界団体が横並びでサーキュラーエコノミーに移行するのではなく、既存ビジネスを守りつつ2割をサステナブルなサブスクモデルにしてシェア拡大を目指すというのも一つの考え方。廃棄物処理業は一般的に回収量を増やすことで収益を上げるビジネスモデルですが、我々は廃棄物を回収する既存ビジネスは変えずに廃棄物を削減するためのさまざまな提案をおこなっています。1社あたりの回収量は減りますが、取引先の数は増えていくのです」 では、観光産業で資源循環を実現するなら、どんな手法が考えられるだろうか。 「いきなり大風呂敷を広げるのではなく、『資源循環に興味がある人を2割取り込めたらよし』とするのがいいと思います。例えばホテルなら20個くらいゴミ箱を置き、細かく分別をしない人の宿泊費は1万5000円にして、徹底的に分別したら割引して宿泊できるようにするとか。 そうした社会実験をcpqでやってみるのも面白いかもしれません」 また、観光産業からサーキュラーパークへの参画はどうか。 「たとえば、ホテル事業者の方がcpqに進出し、我々や他の事業者と連携して資源循環の実証実験をおこなうのもいいですよね。例えば、ゴミを20種類くらいに分別するなど資源循環に徹底的にこだわる部屋を作ってみるとか、そういう試みも面白いのでは。ここでの実証実験の結果や知見を、他の施設に展開するのもいいでしょう」
イベントや祭りは資源循環がしやすい
中台氏は、資源循環の難しさについて、「いつ何がどのくらい捨てられ、回収できるか」という予想が立てにくい点だと指摘する。一方で、「いつ、どんな廃棄物がどのくらい出るか」がわかるシーンは資源循環を実行しやすいという。 「観光産業で言えば、イベントやお祭りですね。イベントやお祭りは、会場を設置し、撤去する期日が決まっています。『来場者に何をどのくらい配るか、どの程度分別するか』を考えてみてください。そして、イベントではゴミの分別などを100%やろうとするより、『30%リサイクルできた』と考える方がいいでしょう」。 例えばゴミを10種類に分別収集するなら10種類のゴミ箱の他に“その他”のゴミ箱を作っておく。来場者の中には帰りの時間が迫っている人も、どこに捨てたらいいかわからないゴミも出てくる。「大切なのは一気に変えようとしないことと、ルール化しないこと。ルール化すると“やらなければならない感”が出てしまいます。楽しんでもらいながら、『ご協力いただける方はお願いします』と伝えるといいでしょう」