都知事選が直撃、ヤクルト「新神宮球場」の命運 蓮舫氏が神宮外苑を争点化…球団経営、根底から見直し迫られることに
20日に告示された東京都知事選(7月7日投開票)の行方を、祈るような思いで見守っているのがヤクルトだ。他球団がホーム球場の移転や大型改修でボールパークビジネスに本腰を入れるなか、間借りしている本拠地の明治神宮球場は収容人数が少ないうえ、老朽化が進んで改築なども難しく、トレンドに乗り遅れてきた。どんどん先送りになる〝新神宮球場〟の開場までは、身動きが取れないのが現実。都知事選の争点となっている神宮外苑再開発がストップすれば、球団経営のビジョンは根底から見直しを迫られる。 (塚沢健太郎) 【写真】再開発をめぐり議論が続く神宮外苑 球団親会社のヤクルト本社の株主総会が19日、都内で開かれ、質疑応答では株主9人のうち実に4人が球団に関して質問。衣笠剛球団会長(75)を「これは本社の総会で…。冗談半分で『球団の総会ではないか』と揶揄される」と苦笑させた。 ヤクルト戦のチケットが取りづらいという改善要望や、埼玉県戸田市から2027年に茨城県守谷市に移転する2軍施設へのアクセス問題のほか、ドラフト1位が活躍しない、ケガ人が多いなどの苦情も寄せられたが、もっかセ・リーグ最下位タイに沈むチームへの厳しい意見はなし。より株価に影響しそうな、球団経営を左右する新神宮球場計画への質問も飛ばなかった。 もちろん球団にとっては切実な問題で、「今の(神宮)球場では頭打ち。新球場ができないとどうにもならない」と悲鳴が上がる。株主総会では本社幹部から「今年は過去最高の200万人がご来場いただけるのではないか」と197万人だった昨季からの上積みを期待する声もあったが、1試合平均2万6839人はセ・リーグ最少。チーム成績の影響もあるとはいえ、営業担当は「今の収容は3万人で限界がある。横浜(DeNA)みたいにスタンドを増築できればいいが、うちはそれもできない」と白旗を上げる。 また、西武、ロッテ、DeNAが近年相次いで設置し〝ドル箱〟にしているVIPルームを12球団で唯一、本拠地に持たないのがヤクルトだ。導入の見通しは立たず、貴重な収入源をみすみす逃し続けている。 待望久しい新神宮。19年に神宮外苑再開発の一環として建設計画が明るみに出た当初、完成は27年とされたが、ズルズルと先延しとなり、最新の発表では32年予定に。しかもここにきて、都知事選に出馬表明した蓮舫参院議員(56)が、外苑内の樹木伐採を問題視して再開発計画を「見直して、大切な緑を守ります」と公約。